「楽しいだけ」のお芝居が“仕事”になった瞬間がある

――鈴木さんは1歳の子役時代からまもなく20歳にいたる現在まで、ずっと作品に出演し続けて第一線にいます。並大抵のことではありませんが、長く活動できる秘訣をご自身ではどう分析しますか?

 どうなんでしょう……? やっぱりやっていて楽しいこと、やりがいがあることがまずはとても大きいです。僕のやりたいように事務所の人たちがやらせてくれていることも、あると思います。

 あとは「“こうしたほうがいいんじゃない?”というアドバイスに対して、“はい”と言えることはいいことなんだよ」と近しい人たちに言ってもらうことがあるんです。意見をなるべく素直に聞き入れることができることも一つあるのかもしれません。もちろん自分の中で納得のいかないことは話し合うときもありますけど、それで「やる」と決めたら、基本的に精一杯やります。

 今がその先すべてにつながると思って、ひとつひとつ取り組むようにしているんです。「この仕事を誰かが見てくれている」と思ってやるようになったというか……そんな風に思えるようになったのは、実はごく最近なんですけどね(苦笑)。

――そうなんですか。これまでは?

 これまではただ楽しいからやっていて、それで続いてきました。今までは優先事項の一番目が学校、2番目に仕事という感覚だったのが、高校で芸能コースの学校に行ったことがきっかけで変わりました。仕事の優先順位がだいぶ上がって、学校と同じくらいのポジションになったんです。

 それからは「とにかく頑張るぞ」と思えるようになっていきました。俳優としてもっとしっかりやりたいというマインドになったんです。

 「仮面ライダーをやりたい」と思ったときにも、そのためにはまず何をすればいいか、から考えました。そうして自分が変わると仕事の雰囲気というか、呼んでいただく作品の雰囲気も変わってくるんですよね。自分が明確に変わったと思う時期が、その頃でした。

――お話を伺っていると、俯瞰的にご自分のことを捉えている印象を受けました。精神面の鍛練を感じられるのですが。

 僕、メンタルはすごい強いと思います(笑)。先ほどの批判の話にもつながるんですけど、例えば、コメンテーターをやらせてもらうときに、「なんだ、この若造が」みたいに書かれていても「そりゃそうだろうなあ」としか思わないので。もしかしたら気にしてしまう方もいっぱいいるのかもしれないと思うと、自分はメンタルが強いのかもなあと思います。

2024.06.15(土)
文=赤山恭子
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=堀川知佳
スタイリスト=作山直紀