この記事の連載

締めは半田麺。ここにも季節の味わいが

 奥様の弟さんが日本酒をメインに扱う酒屋さんということで、なかなか目にすることのないものも揃っていると、日本酒好きの友人が驚いていました。私はお酒はおいしければいいというざっくりな人で、いつも友人たちに教わってばかり。今回おすすめいただいた広島の賀茂金秀 うすにごり生や純米吟醸 春ノ薫風紀土などは、特に春の素材ともドンピシャリでした。

 ドンピシャリといえば、器。ここで使われている器は、石松さんがつくられたものや、飲み友達でお客さんがつくられたものがほとんど。初めに出てくるこの箸置きも兼ね備えた取り皿の美しい佇まいは、石松さんの仕事きっちりな感じがよく出ているもののひとつ。箸置きを落としてしまうお客さんがいたことから考えたという優しさにも納得の器でした。

 料理の味わいの優しさも、カウンターひとり飲みの手持ち無沙汰がないのも、心地よくてついつい長居してしまう。たぷんと注がれた日本酒の美しさに見惚れてぼんやりしていると、隣の席にひとり、またひとりと日本酒飲みのひとり女子。今宵も友達できました。

三献(さこん)

所在地 神奈川県鎌倉市御成町11-3 ウィンズ駅前ビル3F
電話番号 0467-61-0610
営業時間 12:00~14:00(要予約)、17:30~22:30(L.O. 21:30)
定休日 火曜、第1・3・5月曜
Instagram @sakonkamakura

赤澤かおり(あかざわ・かおり)

料理雑誌の編集部を経て、フリーランスに。料理と旅の編集者として活動。料理本のほか、30年以上通い詰めるハワイについての執筆、単行本編纂も多数。近著に「人生にはいつも料理本があった」(筑摩書房刊)。
Instagram @kaoriakazawa.akalohasunny

次の話を読む北鎌倉でもっとも予約が埋まっているワインが似合う“自由料理”で春のパスタや地元の山菜を堪能

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Column

赤澤かおりの鎌倉ひとり飲み

鎌倉で暮らしながら、料理編集者として飛び回る毎日を送る、赤澤かおりさん。どんなに忙しくても赤澤さんが元気いっぱいなのは、地元・鎌倉でお酒を飲む時間。このシリーズでは女性のひとり旅も多い鎌倉で、「ひとり飲み」に優しいお店をご紹介します!

2024.04.20(土)
文=赤澤かおり
撮影=榎本麻美