クリエイターが愛した部屋、クリエイションが生まれたホテル。特別なアドレスでは、歴史を紐解いたり、アートの域の調度品を崇めたり。パリならではの創造の館に滞在すると、イマジネーションが無限に広がる。
今、泊まりたい“物語”のある素敵ホテルを5回に渡りご紹介。
クラシック&ポップな客室、異国情緒漂うレストラン
◆Le Grand Mazarin(ル・グラン・マザラン)
[2023年秋オープン]
マレ地区のアートスポット、アズディン・アライア財団のほぼ向かいに昨年秋にオープンした話題の5ツ星ホテルは、フランス国内で3つのホテルを家族経営で運営する「メゾン・パリアント」による新たなアドレスだ。
内装は、イギリスの著名デコレーター、マーチン・ブルドニスキ氏による。
現代美術アーティストのほか、タペストリーの「ピント」、ムラーノグラス製シャンデリアの「ソーニ」をはじめ、文化遺産として知られる工房とのコラボレーションも実現し、さらにパリ5区のギャラリー「Amelie, Maison d’Aart」のアメリー・デュ・シャラール氏が、ヴィンテージ家具やアート約100点をキュレーション。
どの部屋も少しずつ異なるものの、クラシックを基本に、色やディテールによるポップなタッチが共通点だ。
そして、このホテルのもうひとつの顔は、カクテルバーを併設したレストラン「Boubalé」だ。
キッチンを司るのは、パリ2区のイスラエル料理「Shabour」「Tekés」などで知られる星付きシェフ、アサフ・グラニ氏。
こちらの店では、“アシュケナージ(東欧に住むユダヤ人)”の家庭料理が味わえる。素朴な花柄が愛らしいインテリア、ボヘミアングラスが彩るテーブル、民族衣装をまとったスタッフでレストランは異国情緒たっぷり。
夜は歌手も登場し、ちょっとしたキャバレーのような雰囲気に。夜に訪れるなら、地下の“スピークイージー”もぜひ。
Le Grand Mazarin(ル・グラン・マザラン)
所在地 17 rue de Verrerie 75004 Paris
電話番号 01 83 64 00 65
部屋数 61室
料金(1室) 540ユーロ~
https://www.legrandmazarin.com/
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2024.02.12(月)
文=乗松美奈子
撮影=橋本 篤
編集=矢野詔次郎