柔らかくてコシのあるわらびもちを作るために
使用するのは九州から直送される甘薯でんぷん100%。熱い湯で100回以上イッキに練るのが基本。空気を入れるように練るのがポイントだそう。息を止めてイッキに練り上げます。水分の多い生地をただ柔らかいだけでなく、コシがあるように仕上げるには、かなりの体力が必要。「気を抜けない作業なんです」。
夜に作って、朝まで自然に冷まし、販売する直前に切り分けて抹茶やきなこをまぶして箱に入れていきます。簡単そうに見えますが、くずれそうに柔らかいわらびもちを扱うのはなかなか難しい。目の前で手際良く切って、できたてのわらびもちが箱に詰められていくのを見ていると、思わず食べたくなってしまいます。
抹茶は『京はやしや』のもの、きなこは、国産大豆をここ用に煎ってもらうなど、それぞれの材料にもこだわっています。だから、口に入れた時、それぞれの香りや風味が立ち上り、印象深い味わいになるのでしょう。
「抹茶と深煎りのきなこ以外に、もう1種類できないか」と考えていた関川さん。奥様が風邪をひいたのがきっかけで、しょうがに注目。生をおろして、汁を搾って、と試行錯誤を重ね、高知産のしょうがのパウダーを使った「しょうが」を3年前に完成させました。すうっとした独特の香りと風味で、わらびもちとしてはとても新鮮な味わい。ほのかにしょうがを感じさせる上品な味が、いかにも京都らしい。
右:京もなかやあんみつはこんなパッケージ
『茶洛』のわらびもちは、持ち帰ってその日のうちに食べないと、その独特の柔らかさが楽しめなかったのですが、関川さんは「翌日でも、できたてのおいしさを」と、型に流し込んだタイプも考案。型から出して抹茶やきなこをまぶして切り分けると、できたてに近いおいしさが楽しめるのです。今まで「持ち帰れない」と諦めていた観光客に、フレッシュな京都のお土産として喜ばれています。それでも、翌日が賞味期限。関川さんが、いかにその食感を大切にしているかがわかります。
わらびもちを作るだけでも、毎日たいへんな作業なのに、関川さんは「もっとおいしいものを食べてほしい」と、あんみつやところてん、最中も作り始めてしまいました。
北海道十勝産の一粒大納言を、やや砂糖を控え目にして炊いたあんこ。そのあんこを味わえる「最中とわらびもちのセット」が登場。こぶりな最中はハート型で、中には大粒のあんこがぎっしり。小豆の風味がしっかりして粒々感もあり、ほのかな甘さ。おいしい日本茶と共に食べたい最中です。
バレンタインデーに「チョコレートよりも和菓子が好き」という男性に贈るのもよさそう。
今のお店では、イートインスペースがなく、できたてのわらびもちを味わうことはできません。山の上の茶店でわらびもちを出すのが関川さんの夢なのだそう。ぜひ叶えてもらいたいものです。
茶洛
所在地 京都府京都市上京区今出川通大宮西入ル元北小路町147
電話番号 075-431-2005
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2014.01.26(日)