そしてそばをみて驚いた。以前は柔らかい茹で麺だったのだが、今は茹で立ての細身のそばである。ツルツルとのど越しがよい。こちらでは以前から三松屋食品の麺を使用しているが、初めは茹で麺を使っていたが柔らかかったため、友法店主の時代になってから、生麺を仕入れ店で茹で麺を作って提供していたそうだ。

 しかし、どうせならコシのある生そばを食べてもらいたいという思いから、注文後に生麺を茹でるよう変更。しかもすぐに提供できるように特注の細麺に変更したそうだ。茹で時間は約2分。都内の立ち食いそば屋でもっとも細い生そばである。ほうれん草はたっぷりのっている。二日酔いの時などは最高の一杯だ。あっという間に食べ終えてしまった。

 

にんにく入りかき揚げをガブリとかじる

 同行した友人が頼んだ「にんにく入りかき揚げそば」(560円)は、かき揚げにスライスしたにんにくがこれでもかというくらい入って揚げられたタイプ。大きなかき揚げで、ガブリとかじった時のにんにくの香ばしさがたまらないとか。

ラーメンに「紅しょうが天」がのる技が斬新

 そこで今度は人気者の「紅しょうが天」がのった「紅しょうが天ラーメン」(620円)を注文することにした。こちらのラーメンはそばと同じ三松屋食品の生ラーメンを都度茹でする。あっさりしているのにコクがあるラーメンだという。実はこちらのラーメンはすごい人気らしいのだ。

 天ぷらをのせることができるラーメンは立ち食いそば屋の特権である。待つこと2~3分。「紅しょうが天ラーメン」の完成である。カリッと揚げられた紅しょうが天、海苔、チャーシュー、メンマ、ねぎがのる。スープは明るい醤油色だ。

 まずスープをひとくち。鶏ガラ、豚骨を炊き、余分な脂は取り除いたスッキリとしたタイプ。こういうラーメンがたまらなくうまい。メンマもチャーシューもかなり本格的だ。そして、紅しょうが天をかじると、梅酢の味がじわっと広がっていく。それがスープの味を一段とアップさせていく。

2023.11.14(火)
文=坂崎仁紀