これからのバレエ人生で目指すこと

——トップに輝き続けながらも、さらにこれからのバレエ人生で目指すことはありますか?

 自分が一番いい形でいられることでしょうか。以前は、若い頃から自分が憧れているルネさんやモニク・ルディエールさんといったダンサーの影響を受けていて、ああいうダンサーになりたいというのが目標でした。

 今もその影響を受けながらも、自分がもっと深く追求し、高められるようにひたすら進んでいきたいという思いでおります。自分のベストな状態を目指しています。

——コンディションを保ち続けるために努力していることはありますか?

 柔軟性を維持するために、毎朝ヨガをしています。稽古しているときに常に意識しているのは自分の欠点ですね。きちんと“アンディオール(外側に回す体の使い方)”が開いていくか、足は自分が望む高さに上がっているか、体のラインが綺麗になっているかなど、自分の足りないところや欠点に気をつけながら稽古をします。

——日本に来ることにはどんな楽しみがありますか?

 東京ドームにある「ラクーア」のスパに行くことです(笑)。娘を連れて行きたいので。

 あとは時間があれば娘と一緒に原宿の「キデイランド」にいってショッピングもします。

——ガラ公演ならではの演目が充実した内容となっていますが、どういう視点でプログラムを組まれたのでしょうか?

 今回出演するダンサーはキャリアを積んで成熟したエトワールたちなので、彼らに相応しい作品と考えて、ドラマチックで演劇的な作品を選びました。

 私はBプログラムでケネス・マクミランの作品を2つ踊りますが、踊りを通していかに物語を語るかということを大事にした振付家なので、とても好きです。『うたかたの恋 マイヤーリング』はパ・ド・ドゥ(男女のダンサーが踊る作品の見せ場)だけですと、とてもセクシャルなので、私と相手役のユーゴ・マルシャンにとっても難しいですし、お客様も戸惑われるかもしれません。一方で『マノン』より“出会いのパ・ド・ドゥ”のほうは、タイトルの通り、出会いの場面なので、とても見やすいと思います。直前にオペラ座で全幕を上演していますからとてもフレッシュな気分ですし、パ・ド・ドゥだとしても正しい表現で、正しく踊れるのではないかと思います。

——今回の公演をご覧になる方へのメッセージをいただけたらと思います。

 皆さんにとって、楽しんでいただき、舞台をご覧になることで心が動かされるような時間になればいいですね。皆さんが一瞬でも日常を忘れたり、頭の中に押し込まれた考えを解き放ったり、そういう瞬間が生まれるような公演にできたらと思います。

ドロテ・ジルベール

1983年、フランス・トゥールーズ生まれ。90年よりトゥールーズのコンセルヴァトワールで学び、95年パリ・オペラ座バレエ学校に入学。2000年にパリ・オペラ座バレエ団に入団。07年、わずか24歳で同バレエ団の最高位であるエトワールに任命された。その後、ヌレエフ版『ラ・バヤデール』『ドン・キホーテ』をはじめ、幅広い作品で主演を務める。バレエ以外の活動にも精力を注ぎ、17年には夫で写真家のジェームズ・ボルトが監督した短編映画『Naissance d’une étoile/Rise of a star(エトワールの誕生)で主演女優としてデビューを果たす。芸術文化勲章シュバリエを受章。

「ル・グラン・ガラ2023」

公演期間 2023年7月31日(月)~8月3日(木)
会場 東京文化会館 大ホール
(演目)Aプログラム/Bプログラム
7月31日(月) Aプロ 19:00開演
8月1日(火) Aプロ 13:30開演
8月2日(水) Aプロ 13:30開演
8月2日(水) Bプロ 18:30開演
8月3日(木) Bプロ 18:30開演
(出演)
〈パリ・オペラ座バレエ エトワール〉
アマンディーヌ・アルビッソン
レオノール・ボラック
マチュー・ガニオ
ドロテ・ジルベール
ユーゴ・マルシャン
リュドミラ・パリエロ
〈パリ・オペラ座バレエ プルミエ・ダンスール〉
オードリック・ベザール
〈パリ・オペラ座バレエ スジェ〉
トマ・ドキール
クララ・ムーセーニュ
ビアンカ・スクダモア
〈パリ・オペラ座バレエ コリフェ〉
ニコラ・ディ・ヴィコ
〈シュツットガルト・バレエ団 プリンシパル〉
フリーデマン・フォーゲル(特別出演)

【お問い合わせ】チケットスペース
電話番号 03-3234-9999
https://le-grand-gala.com/

2023.08.01(火)
取材・文=山下シオン
撮影=佐藤 亘
通訳=上野 茜