特によく作る、卵山家の定番料理は?
――あとがきによると、「柿とチーズの生ハム巻き」と「れんこんのマヨチーズ焼き」が卵山家の定番料理になりつつあるそうですが。
ほかにも冬は「ブリと春菊のお刺身サラダ」をよく作りました。
あと夏のレシピとして絶対にカレーを入れたいと思っていたんですけど、100均で揃うスパイスで作る「スパイスチキンカレー」は、簡単に作れるのにお店の味みたいになって、結構ハードルが下がりましたね。
――モモとネコ助のやり取りや、距離感の変化も見どころですが、描きながらどんなことを意識していましたか?
普通に猫を飼うときの近づき方に、割と寄せているのかもしれないですが、物理的な距離の縮まりと、心情的な距離の縮まりの両方を描きたいと思いました。
ネコ助が来た初日、猫を飼ったことのないモモはノミの心配をして、衛生面を気にしているんですけど、だんだん慣れていって、冬になる頃にはネコ助とお布団で一緒に寝るようになっています。
細かいことですが、猫グッズがだんだん部屋の中に増えていくのも、背景として意識して描きました。
最初は猫グッズが一切なかった部屋に、あるとき爪とぎが出てきて、猫ベッドが置かれて、冬頃にはキャットタワーも買っちゃってるみたいな。
猫と親密になる過程って、スペース的にも心情的にも侵食されていく感じがあるんですよね。しかも本人も意外と気づいていない変化だったりするので、それを表現したかったのかもしれません。
――あとがきに、この作品は初挑戦のことだらけで苦戦したと書かれていましたが、特に大変だったところは?
すべてにおいて苦戦した感じでしたね(笑)。普段は自分の家で起こったことをそのまま描いたり、目的がはっきりしているような実用書を描いているので、自由にストーリーを組み立てることがこんなに大変だとは思いませんでした。
そのプレッシャーはあったんですけど、マンガ自体は楽しんで描くことができましたし、時間がかかったぶん、自分でも好きなストーリーになったので、今のところ、やれることはすべてやったと満足しています。
――続編の構想はありますか?
まだ白紙状態ですけど、モモとネコ助の距離が縮まったとはいえ、ネコ助はまだちょっと礼儀正しいので、猫らしく図々しくなっていく様子をかわいく描けたらいいなとは思っています。
――ネコ助のレシピノートにも、まだまだいろんなことが書いていそうですよね。
そうですね。これからは一緒に考えたり、ほかの人に新しい料理を教えてもらうようなこともできると思うので、レシピとしてもさらに広がりを出せたらいいですね。
卵山玉子(たまごやま・たまこ)
ネコ好きのマンガ家。愛猫のトンちゃん、シノさんとの日々をつづった『うちの猫がまた変なことしてる。』(KADOKAWA)でデビュー。猫の身体でいちばん好きな部位はおしり。
主な著書に『ねこほん 猫のほんねがわかる本』(西東社)『ズボラでも痩せる! ネコちゃんのゆるゆるダイエット塾』(KADOKAWA)『マンガでわかる ネコさんが教える疲れリセット教室』(学研プラス)など。
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2023.04.03(月)
文=兵藤育子