朝ドラの食卓の裏エピソード

――番組公式Twitterアカウントが「#舞いあがれ食堂」のタグをつけてツイートする、ドラマに登場した料理の「こぼれ話」が話題です。中でも朝ドラファンが歓喜したのは、「ビワジャムを使ったハンバーグソース」の話。「舞(少女時代:浅田芭路)が祥子ばんばのビワジャム作りを手伝って瓶詰め作業をする際に、こぼしてしまって落ち込む。ばんばは舞に『失敗は悪いことではない』と教える」というエピソードに寄り添うように、舞がこぼしたジャムを無駄にせず、夕食のハンバーグのソースに活用したという逸話が明かされました。「いったいどこまで深く台本を読み込んでいるんですか!」と驚嘆したのですが。

広里 あれは、撮影現場で思いついたんです。もともと祥子さんは丁寧な仕事をする人で、物や食材を大事に使う人だということは、台本を読んでわかるので、その人物造形に従って台所を作り込みました。祥子さんらしい「生活感」が出るように、置いてある調理器具・食材・調味料・保存食などは、すべて私がチェックして準備しています。台所周りのしつらえに関してはかなりこだわって、気を張っていたんですが、当初はこぼしたジャムのあしらいにまでは気が回らなかった。でも、どこかで使いたいとは思っていて。

 撮影に立ち会ってみて、祥子さんの舞ちゃんに対する姿勢を見たり、何気ない会話を聞いていて、ひらめいたんです。舞ちゃんが電話で、お母さんのめぐみさん(永作博美)に「おばあちゃんと一緒にジャム作ってん」と報告している奥で、祥子さんが夕ご飯の支度をしている。「あ、ここだ」と思いました。孫のためにハンバーグの用意をしながら「およ、舞がこぼしたジャムばソースに使うてみんね」と、祥子さんは思いついたのではないかと。あのメニューは、高畑淳子さんのお姿と演技が作らせてくれました。

 

細部へのこだわりは「気づかれなくてもいい」

――台所のしつらえまで指導されているとは、驚きました。

2022.12.20(火)
文=佐野 華英