中華菓子から洋菓子まで、趣向を凝らした中秋節ギフト

 まもなく訪れる「中秋節」は、台湾の三大行事の一つ。旧暦8月15日(今年は新暦9月10日)を待ちわびている人たちは少なくありません。

 この日は名月を愛でながら月餅や文旦を食べるのが習わしですが、近年は家族や仲間で月を眺めながら屋外バーベキューを楽しむのも定番となっています。これは1980年代末に放映された、バーベキューのタレのCMが火付け役になったとされています。 

 そんな中秋節ですが、この時期には普段お世話になっている知人や友人に月餅を贈る風習があります。7月頃から趣向を凝らした月餅が出回り始め、商戦は年々ヒートアップしている印象です。行列ができる人気店は、早くから事前予約を受け付けるところも少なくありません。

 台湾の月餅にはさまざまな種類があります。よく見られるのは、日本の中華街にもあるテカリのある硬めの生地に小豆餡などが入った「広東式」と、薄い生地を重ねたものに緑豆餡を詰めた「台湾式」(「緑豆椪」とも呼ばれます)。前者はメリハリのある甘さで、後者はふんわりと優しい甘さとなっています。さらに、アヒルの塩漬け卵の黄身を月に見立てて入れたものも定番です。

 最近は変わり種の月餅も増えています。餡にフルーツや台湾茶を用いたものをはじめ、カラスミ入りやトリュフ入り、さらにチョコレート味やウイスキーを加えたものなども登場しています。形状もバリエーションに富んでおり、見ているだけでも飽きることがありません。

 また、中華菓子だけでは食べ飽きてしまうという声もあり、中秋節限定の洋菓子セットを出すところも増えていて、こちらも人気を博しています。

 今回は70年の歴史を誇る「宜德和志」の個性派月餅のほか、人気ベーカリー「Miss V Bakery」のスコーン風月餅、そして「珠寶盒法式點心」の和菓子風月餅と、お茶風味の洋菓子を紹介したいと思います。

2022.08.26(金)
文・撮影=片倉真理