未来へ受け継がれる手わざ

【戦火で焼失した数多くの木彫を今に】
王家の祭祀用酒器。●模造復元 美御前御揃 金杯・銀杯洗・托付銀鋺・銀脚杯 松田 聖(錺屋 松田) 平成28~30年度/模造復元 朱漆巴紋牡丹沈金透彫足付盆(しゅうるしともえもんぼたんちんきんすかしぼりあしつきぼん) 高良輝幸・高良典子(木の工房 杢陽)、仲宗根正廣(彫刻工房 木像)、諸見由則(漆芸工房)、當眞茂 令和2年度 沖縄県立博物館・美術館蔵 展示期間:5月31日(火)~6月26日(日)※東京会場のみ。
“手わざ”の事業は、作品を作るだけではなく、技術を継承していくことも、大きな目的だ。
そのために沖縄県立芸術大学の学生からベテランの技術者まで総勢100人以上が事業に参加し、技術の継承も着実に行われている。
現在の沖縄で復元を行うことが難しいものについては、県外の技術者の力も借りながら復元を行うといい、そのうちの一人が京都の技術者だったそうだ。

往時の輝きも忠実に再現。●模造復元 朱漆巴紋沈金御供飯(しゅうるしともえもんちんきんうくふぁん) 高良輝幸(木の工房 杢陽)、諸見由則(漆芸工房)、前田貴子・前田春城(琉球漆紀行)、宇良英明 平成30年度 沖縄県立博物館・美術館蔵 展示期間:5月3日(火)~29日(日)※東京会場のみ。
この事実に限らず、伝統工芸の技法が継承されてきた沖縄と京都には古くからの結びつきが随所に見られる。それは王府として長らく都を擁してきたという共通点が、その遠因であるともされている。
また、三笠さんによれば、“唐物”と呼ばれた、憧れの中国渡来品の中継地点としての琉球ブームが、16世紀末から18世紀にかけて、京都の文化人の間に見られたそうだ。

往時の輝きも忠実に再現。●模造復元 朱漆巴紋沈金御供飯(しゅうるしともえもんちんきんうくふぁん) 高良輝幸(木の工房 杢陽)、諸見由則(漆芸工房)、前田貴子・前田春城(琉球漆紀行)、宇良英明 平成30年度 沖縄県立博物館・美術館蔵 展示期間:5月3日(火)~29日(日)※東京会場のみ。
琉球漆器の天目台を京都の名刹・孤篷庵が所蔵していたことなどからも、当時の“琉球ブーム”を窺い知ることができる。
琉球と京都という、別の角度からこの展覧会を捉えたとき、そこにはきっと新たな発見があるに違いない。
沖縄復帰50年記念 特別展
琉球
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/
【東京会場】
会場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
会期 2022年5月3日~6月26日
電話番号 050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2131
【九州会場】
会場 九州国立博物館(大宰府天満宮横)
会期 2022年7月16日~9月4日
電話番号 050-5542-8600(ハローダイヤル)
https://www.artagenda.jp/

Text=Masao Sakurai
Photographs=Takashi Shimizu
Edit=Shojiro Yano