沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」が、2022年5月3日(火)より、東京国立博物館 平成館にて開催された。
国宝・重文をはじめ、多くの宝物と並んで見るべきは、復元品の数々。
首里城も、復元されて初めて琉球王家の絢爛を人々がイメージできるようになったように、そこには大きな価値が宿っているのだ。
首里城を彩った、琉球王国。尚家400年の宝物が一堂に
沖縄が日本に復帰して半世紀を迎えた今年、復帰50年を記念して、特別展が東京と九州で開かれる。展覧会名は「琉球」。
かつて存在していた王国の名前がそのまま展覧会名に冠されていることが物語るように、琉球王国の独自の文化とその継承の意義が、歴史文脈とともに紐解かれる壮大な展覧会だ。
東京国立博物館の特別展室主任研究員の三笠景子さんは、展覧会の概要を次のように語る。
「当館では、明治期に蒐集した資料を中心とした琉球コレクションを収蔵し、復帰20年には『海上の道』と名付けた展覧会を開催しました。
今回は沖縄県立博物館・美術館ほか多くの皆さまの協力のもと、東京国立博物館、九州国立博物館で合わせて約400点もの出品となり、今までにない規模となりました。
会場はテーマによって5つに分けられ、どれも見ごたえ充分ですが、とくに2章と5章に注目していただきたいです」
「王権の誇り 外交と文化」と名付けられた2章は、400年にわたって王家として琉球を治めた尚氏ゆかりの、国宝の「尚家宝物」が中心となる。
精緻な刺繍が施された中国風の礼装や、王家の文様が色鮮やかに染め抜かれた紅型など、王族ならではの格調高い衣裳。金銀や水晶に飾られ、神々しいまでに輝く玉冠。
かつて首里城を華やかに彩ったであろう、こうした宝物の数々は、琉球に脈々と伝わる美意識を雄弁に物語っている。
また、これらの宝物のなかには、琉球王国が消滅し、日本へと併合された明治以降、東京をはじめ沖縄県外に運ばれて保管されていたものもあった。
それゆえ、太平洋戦争の戦火を逃れることができ、1995年より尚家から希少な宝物の数々が那覇市歴史博物館に順次寄贈されている。
現在では文書・記録類1,166点、美術工芸品85点が国宝指定をけ、琉球の王朝文化を後世へと伝える。
今回の展示を通じ、こうした歴史を知ることで、琉球から沖縄へと連なるもうひとつの歴史の側面も見えてくるのだ。
Text=Masao Sakurai
Photographs=Takashi Shimizu
Edit=Shojiro Yano