都会のビルの合間にも、実はたくさん生息している野鳥たち。

 通勤や散歩の途中に、彼らの生活をちょこっと覗いてみませんか。

 都心部の公園に生息していて、初心者でも探しやすい、9種類の野鳥を写真家の菅原貴徳さんに伺いました。今度の休日はのんびりバードウォッチングなんていうのもいいかも。


よく目を凝らせば、都心部でも多くの野鳥に出会えます

「都心の公園で実際に観察すると、意外と多くの野鳥に出合えることに驚くはず」と語るのは、国内外で野鳥を撮影する写真家、菅原貴徳さん。実は、都内には、一年を通して様々な鳥が生息しているそう。

「初夏から夏は、渡り鳥が飛来する冬に比べて種類は多くはないものの、春の繁殖期を経た子育て時期なので、鳥の数自体は豊富です。都内では浜離宮恩賜庭園や上野恩賜公園内の不忍池、井の頭恩賜公園、葛西臨海公園、水元公園などがおすすめ」(菅原さん)

 双眼鏡と基本的な図鑑さえあれば手軽に始められるが、気をつけたいのが野鳥との距離感。

「近づきすぎると、おびえて飛んでいってしまいます。自然な行動を見るのが醍醐味。“見せてもらっている”気持ちを大事に、人間の気配を感じさせず、双眼鏡で見られるぐらいの遠めから観察しましょう」(菅原さん)

BIRD WATCHING

●tips1 双眼鏡は8~10倍レンズのものを

 初心者には倍率が8~10倍、口径が25~30mmの双眼鏡がおすすめ。ピントは左右の視力に合わせ、同じ対象物を使って、片目ずつ調整する。また野鳥を見るときは、木の幹伝いに追っていくと、見たい位置を見失いにくい。

●tips2 目ではなく、まずは耳で探そう

「高く、生い茂った木々に隠れる野鳥の姿を目で探すのは、至難の業。耳で鳴き声をキャッチしてから、鳴き声が聞こえる方向を探すと効率的です」(菅原さん)

 鳴き声を図鑑で予習しておけば、出合いのチャンスが広がる。

●tips3 見つけやすいのは断然、水辺!

 鳥は、池などの水辺にいるものと森にいるものに分かれるそう。

「水辺にいるカルガモやアオサギなどは、隠れるものがない分、木々にいる野鳥よりも姿を見つけやすく、双眼鏡でも追いやすいので、初心者向きです」(菅原さん)

2021.07.22(木)
Text=Kaori Akiyama
Photographs=Takanori Sugawara

CREA 2021年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

ちょっとだけアウトドア

CREA 2021年夏号

ちょっとだけアウトドア

特別定価900円

CREA6月発売号は「アウトドア」特集。ビルの間を移り行く空に道ばたに咲く草花、ベランダで感じる風――少しだけ感覚を拡げてみると、自然は案外私たちのすぐ近くにあることに気づきます。日常に落ちている、小さな自然の気配を拾い上げられたなら、窮屈に感じる日々も、少し楽しくなるかもしれません。ベランダで過ごす一日から、身軽なキャンプまで、アウトドア気分をちょっとだけ、お届けします。