ジャニーズの経験を基盤に 新たにつなぐ夢物語

 今井 翼を見ていると、自然と横にいる相棒も好きになるという現象が起こるのも面白い。

 これまた「今さら」ではあるが、遡ってタッキー&翼時代の映像を見ているうちに、滝沢秀明まで好きになってしまった。

 前述した片岡愛之助も然り。横に魅力的な男性が並ぶことで映え、彼もその相手を輝かせるWIN-WIN体質と言おうか。

 また、彼を好きになったことがきっかけで、ジャニーズで育ったタレントが年を取っていく良さをかなり見直している。

 最近「辞めジャニ」という言葉がニュースに並ぶほど、中居正広、手越祐也、そして来年3月に退所が発表された長瀬智也など、新たなステージに羽ばたくかたが多い。辞めかたによってイメージが変わるのは当然だろうが、これから彼らが関わる作品を観ていけば、自然と決断した目的と本気度は伝わってくるのだろう。

 そうしみじみ思えるほど、「麒麟がくる」のジャンプは、新たな挑戦をする楽しさと可能性を感じた最高の跳びっぷりだった。齢を重ね、苦しい経験と思いきった決断をしたからこそ見せられる熟成した夢物語ってあるのだ、と!

真面目な人ほど コメディで爆発させる破壊力

 2020年8月13日(木)から始まるドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」では、ファンシーグッズを愛する河合ケンタ役で出演する今井 翼。

 やだ、良い予感しかしない……。

 ハードボイルドな劇画顔ゆえ深刻な役が多かった柳楽優弥が、コメディの巨匠、福田雄一監督のドラマ「アオイホノオ」で怪演を見せ、新境地を開いたのを思い出す。

 真面目な人が真面目にコメディに取り組んだときの破壊力はスゴイ。見なくては!

 嗚呼、彼の魅力に大興奮しキーボードを叩きまくってしまったが、遅れてきたファンなので、今ひとつ説得力がない気がする。ここまで書いておいてなんだが。

 とにかく、お体に気をつけつつ、ゆっくり長く活動してほしい。どんなスローにしても、今井 翼はポーズの魔人。一つひとつが美しいのは証明済みなのだから。

田中 稲(たなか いね) 

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2020.08.12(水)
文=田中 稲