佐々木俊尚 1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社、アスキーを経て、フリージャーナリストとして活躍。公式サイトでメールマガジン配信中。著書に『本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み』

【KEY WORD:ミニマリズム】

 芸術の分野で、1960年代に登場した言葉。余計なものをそぎ落として、かたちや色を最小限度まで突き詰めようとする姿勢のことを指した。そこから波及して、現在では芸術分野のみならず、ものを極力所有しないライフスタイルの若者を「ミニマリズム世代」と呼ぶ。

「断捨離」ブームは世界的な大流行の表れだった!

 ものを捨てて身軽になろうという「断捨離」がひと頃話題になりました。しかしこの断捨離的なものは単なる流行語ではなく、実は今、世界中で起きている大きなムーブメントの一端なのです。そのムーブメントとは、「ミニマル」であるということ。直訳すれば「最小限主義」でしょうか。飾りや余計なものを極限にまで減らし、シンプルなかたちにそぎ落としていこうという考え方です。

 たとえば最近のウェブサイトは、どんどんシンプルになってきています。グーグルの検索エンジンやツイッターなどのページが典型ですが、余計なパーツがほとんどありません。日本のショッピングサイトなどではまだ装飾過多のごたごたしたサイトが主流を占めていますが、海外ではどんどんデザインがシンプルでミニマルになってきています。

 ライフスタイルも、最近は所有ではなく共有(シェア)を選ぶ人が増えています。マンションをみんなで借りて共同生活するシェアハウスや、車を共有するカーシェアリング。単に生活コストを下げるメリットだけでなく、所有物を減らして身軽になりたいと思う人が増えているのです。

 ワークスタイルも、ミニマルに変わっていこうとしています。オフィスはなくても、カフェで構わない。持ち物も最小限に減らし、ノートパソコンとスマートフォンだけ。これまで持ち歩いていた重い紙の資料などはすべてデジタルデータ化し、インターネット上のクラウドに保存しておいて、必要に応じてダウンロードして参照すればいい。音楽のデジタル配信も今後はクラウド化すると言われています。無線でインターネットに接続できるインフラが整備され、どこからでもネットにつながるようになったことで、こういうことが可能になってきたのです。

 いろんな無駄をそぎ落としていった先に、何が残るのでしょうか。それは人間関係であり、自分の大切な人や夢、きれいな思い出。そういう本質的なところへと、人間の生活は向かっていくのかもしれません。

2012.07.06(金)

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