買い物と料理をつなぐ作業は
みんな面倒に感じている!

 ニラは袋から出して、束ねてあるテープをハサミで切ってサッと洗う。

 チンゲン菜は土がついてることも多いので、袋から出したらボールに水を入れ、しばしつけておく。

 肉類は本日はすぐ使わないので、包装を外してひと口大に切り分けてから半量に分けてそれぞれラップし、ジップロックに入れて冷凍庫へ。下味をつけてから冷凍する場合もあり。

 肉を切った場合は、まな板と包丁は洗剤でよく洗っておく。卵もパッケージを開けて冷蔵庫内の卵入れに。

 野菜やらが入っていたビニール、卵のパッケージをまとめて捨てる、キュウリとズッキーニは袋から出してサッと洗っておく……ああ、一体何工程やってるんだ⁉

 ちょっと「公言しにくい面倒くささ」なんですな。声を大にしては言いにくい。「その程度のことが大変なの?」なんて真顔で言われてしまいそうでね。

 実際、自炊生活に入る前はこの種の煩雑さ、私も分かりませんでした。ひとつひとつはごく単純な作業でしょう。難しくはないけれど、毎日毎週やってると、なんか心にこびりついてくるような鬱陶しさがあるんですね。

 ニラとかネギとか束ねてるテープって妙に丈夫でなかなか切れないし。青菜の泥ってなかなか落ちないし。

 日によっては面倒に感じずスムーズにやれることもあるんですが、時にたまらない倦怠を召喚してしまうのが「買い物と料理をつなぐ作業」なのですよ。分かってくれる人は分かってくれるはず。

 何が言いたいかというと、料理から人を遠ざける理由は「調理すること」「献立決め」といった理由だけではない、ということなんです。

 「名前のない家事」が話題になったのは2年前ぐらいだったかなあ、シャンプーやトイレットペーパーの補充とか、タオルの交換、読んだ本や雑誌の片づけ、リモコンを所定の位置に戻すなどなど、細かな家作業のひとつひとつ。

 「買い物と料理をつなぐ作業」もまさにこれです。先日、ツイッターから「料理がつらい、面倒に感じるのはどんなとき?」というアンケートを行いましたが(6,000超シェア)、「個包装を取るのが地味につらい」「一度の買い物で包装ゴミでいっぱいになってしまう」「それらをしてから下ごしらえですもんね……(笑)」などの声が寄せられ、「わかる! わかるよ!」と共感することしきりでした。

 避けては通れないことというのは重々承知。ただね、この手の面倒さ、もっと周知されてほしい。それらを面倒に感じる人が少なくないのも含めてね。「そんなことすら面倒と思ってしまう私は、ダメなやつだ」と思ってしまう人がちょっとでも減ってほしいと思うから。

 料理には楽しさも面白さもたくさん詰まっているけれど、面倒な部分も必ずついてくる。うまく折り合いつけていくしかないんですが、まずは「その悩み、あなただけじゃないよ!」ってことを伝えていけたらと思っています。

2019.07.17(水)
文=白央篤司