『アメリカン・グラフィティ』には
大きな影響を受けた(光石)

光石 横山さんの愛車も雑誌などでチェックしています。僕、今はベンツのハネベン(メルセデス・ベンツW110。フィンテールの形状が羽に似ているため日本ではこう呼ばれる)に乗ってるんですよ。

横山 ハネベン! いいですね。僕は今、趣味でBMW2002とオースチン・ヒーレー、普段乗りはキャデラックのVなんですけど、現行型なのであまりアメ車っぽくはないです。

光石 剣さんが乗っていた(シボレー)ノヴァは一時期、246沿いの池尻あたりのディーラーのショーウィンドウに置いてありましたよね?

横山 詳しい!(笑) ノヴァはもう売ってしまいました。改造しすぎちゃって、お腹いっぱいになっちゃって。売って後悔しましたけど。

光石 あのノヴァはかっこよかったですね。

横山 僕も、光石さんが10代の頃にベスパに乗ってたと聞いて、嬉しくなりました。映画『アメリカン・グラフィティ』の登場人物、テリーがベスパで「メルズ・ドライブイン」に乗りつけるシーンに憧れてね。

光石 僕もまさしくそうです。

横山 あのちょっと間抜けな感じがいいなと思って。一見冴えないんだけど、実はテリーが一番オシャレなんですよね。ホワイトバックスとか履いて。

光石 そうそう! 僕たちの世代には『アメリカン・グラフィティ』は大きかったですね。

横山 大きかったですね。ジョージ・ルーカスが監督した映画本編も良かったけど、50’sや60’sのロックンロールやヒット・ナンバーが入ったサントラが最高。

光石 日本での公開は1974年。ロックンロール・リバイバルや50’sブームのきっかけになりましたね。

横山 そうそう。僕はアメグラを観て、横浜の本牧が急に恋しくなっちゃったんです。70年代の本牧は米軍基地があったので、まだ『アメグラ』っぽい雰囲気が残っていたんですよ。

光石 僕はリバイバル上映で観ましたが、『アメグラ』がきっかけで50’sのファッションや音楽にハマった人は多かったですよね。

横山 ロックンロールに興味がない人もリーゼントやポニーテールにしたり。『グローイング・アップ』というイスラエル映画とか、TVドラマ「ハッピーデイズ」とか、亜流もたくさん生まれて。

光石 やっぱり50'sは10代から刷り込まれているので、今でも好きなんですよ。今日も横山さんにお会いするからアロハを着て、髪も少し寄せてきたつもりなんです(笑)。

横山 かなりリーゼンティーですね。ちゃんと髪があるからうらやましい!(笑)

2018.09.21(金)
構成=佐野郷子
撮影=鈴木七絵
スタイリング=下山さつき
ヘアメイク=山田久美子