毎日違う肌に毎日違うお手入れ
それが手のひらに降りてくる

 衝撃的だったのは、「オプチューン」の導入。ひと言で言えば“デジタルなパーソナルケアシステム”で、最先端の皮膚科学とデジタルを掛け合わせることで、スマートフォンにダウンロードした専用アプリによる肌測定データと、様々な環境データを掛け合わせた独自のアルゴリズムが、その人だけ、その日だけのケアを専用マシンが作ってくれる。

 そう言っても、あまりにも新しすぎて意味がわからないはず。要は、マシンが毎日違う肌のために、毎日違うお手入れを作ってくれるという、驚異のシステムなのだ。

 必要な機器は貸し出されるが、まずスマホで自分の肌を撮影、キメ・毛穴・水分量などを測定した肌データと、気温・湿度・生理周期・気分・コンディションまでのデータをクラウドを経由して収集・分析し、その時どきの肌に必要なスキンケアのパターンを決定し、専用マシンに送信、するとマシンから必要な量だけの化粧品が手のひらに降りてくるという仕組み。その記録も全て残り、いつでも引き出せる。専用マシンにセットする5本のカートリッジも、もともとその人のために選ばれたもの。

 1000パターン以上の組み合わせから選び出されたセラムとモイスチャライザーの2ステップケアで、それぞれ毎日微妙に異なる量が手のひらに出てくるのには度肝を抜かれる。パーソナルケアもついにここまで来てしまったのだ。ハッキリ言って、とてつもないこと。中途半端な取り組みでは絶対に叶わない。本気度が並大抵ではないことは、「オプチューン」というブランドの誕生に明らかなのだ。

 センセーショナルな新ブランドはほかにもたくさんあって、例えばコスメ通がどこより注目しているのが、資生堂のアーティストがアイディアを持ち寄って独自に開発、ユニークなバックステージアイテムを結集したプレイリスト。

 まず日中メイクの上からでもツヤを加えられる下地ならぬ化粧上地が大ヒットしている。さらに、まつ毛の間を埋めるアイライナーとしても使えるライナーマスカラや、アイシャドウからアイブロウと何にでも使えてしまうマルチな筆ペン。ハミ出しをきれいに消せるし、形も整えられるリタッチペン、下地にもテカリ押さえにも使えるマットフィクサーと、使い方のユニークネスは他の追随を許さない。

 そうかと思うと、和食発想のスキンケアWASO、和菓子からインスパイアされた色や質感をミニサイズで表現した限定品のピコなどは、日本のお土産としても大好評で、巾着型のギフトボックスもプレミアものとなった。

2018.08.25(土)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史

CREA 2018年8・9月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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