英国西部の港町ブリストルは、ヴィクトリア時代には、造船業・鉄道業が発展した工業都市。今回は、その歴史と文化に触れるブリストルの観光スポットをご紹介します。

歴史とカルチャーに身を浸す
ブリストルのスポット

長い年月を経て、1970年にブリストルに帰ってきたSSグレート・ブリテン。(C)SS Great Britain

 ブリストルのハーバーサイド・エリアの西側に、どっしりと鎮座している一際立派な船が、SSグレート・ブリテン。英国が生んだ名技術者、イザムバード・キングダム・ブルネルの手により、1843年に建造された世界初の鋼製の蒸気船です。

左:ビーイング・ブルネル博物館では、ブルネルさんがお出迎え。
右:ブルネルのロンドンのオフィスを再現した部屋では、秘書の男性が案内してくれる。
船底部分も見学することができます。(C)SS Great Britain

 グレート・ウェスタン鉄道の技術者として、ロンドンとブリストルをつなぐ鉄道の建設に尽力したイザムバード・キングダム・ブルネルが、陸路による国内の交通に飽き足らず、大西洋を横断する2隻目の汽船として造りあげたものです。

 途中さまざまな用途に使われながらも、リバプールとNY、のちにオーストラリアを往復し2万人もの乗客を海の端から端へと運んだSSグレート・ブリテンでしたが、1937年にはフォークランド諸島のスパロー湾にうち捨てられ、長年放置されていました。

ビーイング・ブルネル博物館の内部。

 大戦中は、資金集めのために船の木材が使われたり、軍艦の修理のために鉄板が使われたりと、傷だらけになっていたSSグレート・ブリテンは、1970年に現在の場所、生まれ故郷であるブリストルの造船所に戻ってきたのです。

左:SSグレート・ブリテンの甲板。
右:SSグレート・ブリテンのキャビン。驚くほどベッドが短いのです。
SSグレート・ブリテン内のキッチンの様子。

 現在、美しく復元された船内は公開され、当時の栄華をしのぶことができるだけでなく、2018年3月にオープンした併設のビーイング・ブルネル博物館で、ブルネルが生涯をかけたプロジェクトの数々に関する資料や、ブルネルの仕事部屋の様子などを眺めることができます。ヴィクトリア時代の英国の雰囲気に浸れる、大人も子どもも楽しめるテーマパークです。

BRUNEL'S SS Great Britain
(SSグレート・ブリテン)

http://www.ssgreatbritain.org/

2018.05.19(土)
文・撮影=安田和代(KRess Europe)