源泉数・湧出量ともに日本一を誇る別府温泉。多様な泉質や効能で夏の疲れを癒したあとは、季節のおいしいものを堪能できる名店で、ゆっくりと日本料理をいただきたい。


1日2組限定の「至福の体験」

 別府の中心街から車で約10分、閑静な住宅街に佇む「御料理 はた野」。2014年、板前の世界で腕を磨いた波多野 茂さんがオープンした日本料理店だ。ミシュランガイドで2ツ星を獲得し(熊本・大分2018特別版)、フランスの本格レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」の日本版で2022年から5年連続選出されている。

 1日2組限定、完全予約制。店主と二人三脚でこの店を切り盛りする女将は、「お客様にその日一番のお料理とおもてなしができるようにすると、2組がベストだと考えました」と語る。

 はじめに運ばれてきた八寸(前菜)に、思わず目を見開いた。

 団扇を模した銀の器に、大ぶりなほおずきが4つ。周りには、古くから神木として尊ばれ、かつては七夕の短冊として使われた梶の葉が添えられる。ほおずき、団扇、七夕と、夏の風物詩がふんだんに表現された一品だ。

 店主で料理人の波多野茂さんが部屋に姿を見せ、詳しく説明をしてくれた。

「4つのほおずき袋を、それぞれ異なる料理に仕上げました。大分県産の牡蠣のポン酢漬けに、大分県産の『天空のトマト』の土佐酢漬け、鴨の松風焼き、そして鯵の手毬寿司が入っています。どれもさっぱりとした味わいが楽しめます。今回はこちらの4つの料理にしましたが、もうすぐ大分県産の牡蠣のシーズンが終わりますので、これ以降は別の食材に変わります。土佐酢漬けにしたトマトも、季節に応じて品種が変わってくる。農家さんや漁師さんが獲った『今一番おいしい自然の恵み』を調理しています」

 ほおずきを開けてみると、中から鯵の手毬寿司が。“今一番おいしい”ものだけを集めた前菜をひとつずついただきながら、器や飾りが演出する“涼”を堪能する。

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