「自分を認めること」から始まった、役者としてのステップアップ

――さとこが団地や職場の人々、薬膳に出会って変わったように、桜井さんにもご自分を変えるきっかけがあったのでしょうか。

 年齢を重ね、いろいろな経験をして、少しずつ変わっていきましたが、一番のきっかけは、俳優という仕事を始めたことです。

 なかでも大きかったのは、お芝居を教わった先生から、「そもそも自分があってこそ役を演じられる」と教わったことです。

 若い頃の私は、自分のことがあまり好きではなく、見ないように、認めないようにしていた部分もありました。でも、先生のその言葉を聞いて、「自分すら認められないまま、誰かを演じることはできないんだ」とハッとしたんです。

――演じるためにはまず「自分」を知らなくてはいけない、と?

 お芝居を重ねるなかで、まず自分自身を受け入れなければ、役にも向き合えないのだと気づきました。好きではない部分も見ないふりをせず、少しずつ認めていくことで、自分全体を受け入れられるようになったのだと思います。

――さとこも、鈴さんや司の言葉で自分自身を取り戻していきます。

 スペシャルドラマでは、さとこが感謝や褒め言葉を素直に受け取れない時に、鈴さんが、その気持ちをほかの誰かに渡せばいいと伝える場面があります。好意をその場で受け止めきれなくても、別の誰かに渡していけばいい。そういう考え方もあるのだと気がつきました。

 鈴さんを演じた加賀(まりこ)さんのお芝居も、押しつけがましさがまったくないんです。「こうしなさい」と諭すのではなく、鈴さんが日常の中でふっと差し出してくれるように演じてくださる。そうした鈴さんの言葉や、加賀さんのお芝居は、今回もきっと視聴者のみなさんの心に響くと思います。

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