◆11位『名探偵の掟』
名探偵天下一大五郎は、必ずはじめに謎を解く

●あらすじ

大河原番三警部の悩みの種は、事件のたびにやってくる名探偵・天下一大五郎だ。探偵を差し置いて刑事が真相にたどり着いてはいけない。大河原警部の涙ぐましい努力とは。(講談社文庫)

ユーモラスな名探偵の活躍から目が離せない!

 「名探偵が謎を解く」というのは現実にはありえない、ミステリー小説ならではの〈物語の噓〉だ。『名探偵の掟』は、そうした〈お約束〉を白日の下にさらけ出すことにこだわり、名探偵ミステリーのパロディをやり尽くした問題作だ。ミステリーをたくさん読んでいる人ほど魅力にはまり、天下一大五郎の動向から目が離せなくなるはず。

 続編に長編『名探偵の呪縛』もある。〈謎解き〉という概念自体が存在しない世界に大五郎が迷いこむというお話だ。

【読者からの声】

■ドラマで見てあまりに面白く、東野作品とは分からなかった。もっと重いテーマのものばかりを書く作家だと思っていたので(37歳・会社員)

■推理小説のパターンが学べて楽しい(25歳・会社員)

◆12位『分身』
自分に瓜二つの誰か 私たちの関係って?

●あらすじ

小林鞠子は、自分にそっくりな女性がテレビに出ていたことを知る。一方で小林双葉は、テレビ出演の直後から身辺に変事が相次いでいた。瓜二つの二人の関係は?(集英社文庫)

読者の想像を裏切る、極上の理系ミステリー

 東野圭吾の魅力の一つに、理系の知識をフルに活かした、新鮮な物語作家という顔がある。本書はそうした「理系・東野」が前面に押し出された作品である。取り扱われているのは、先端の科学問題だが、決してとっつきにくい話ではない。

【読者からの声】

■謎解きと題材が良い。結末は何度読んでも感動する(27歳・主婦)

◆13位『レイクサイド』
中学受験のための合宿 そこで起きた事件とは?

●あらすじ

中学受験のため、子供たちが別荘で合宿をする。その付き添いで同行していた大人たちの間で事件が起きた。一人の母親が、夫の愛人を殺害してしまったというのだ。(文春文庫)

大人たちの暗部を鋭く抉る 衝撃の人間ドラマ

 舞台は湖畔の別荘に限られている。そうした閉じた状況の中で、二転三転のどんでん返しが楽しめる作品だ。犯人捜しの謎解きミステリーであるが、子供を持つようになった世代の人々の暗部を鋭く抉る、人間ドラマとしても秀逸な出来である。

【読者からの声】

■実際にありそうな話だったので少し怖かった(29歳・メーカー勤務)

◆14位『パラレルワールド・ラブストーリー』
2つの現実が交錯する 哀しく、美しい恋愛模様

●あらすじ

敦賀崇史が目を覚ましたとき、部屋には津野麻由子がいた。だが彼女は親友の智彦の恋人だったはずだ……。2つの現実が交錯する。最後に待ち受けるものは何か。(講談社文庫)

ファンからの強い支持 SF的趣向の恋愛小説

 東野作品の中ではそれほど目立つ存在ではないが、ファンからは強く支持されている隠れた名作だ。SF的な趣向もさることながら、二人の男性と一人の女性というシンプルな人間関係が醸しだす深いドラマは、実に読み応えがある。

【読者からの声】

■とても悲しい話。電車が並走するシーンは名場面(42歳・会社員)

◆15位『天空の蜂』
原子力発電所を人質に取ったテロリストと戦う

●あらすじ

原子力発電所を爆破するとのメッセージが届けられた。テロリストの脅迫に対し、政府は苦渋の決断を下す。(講談社文庫)

初期を代表する名作 日本の真実を描きだす

 初期の東野作品は、現在よりもはるかに社会派的な印象のものが多かった。長期にわたる取材によって得られた着想は、読者の思い込みを凌駕するような驚きに満ちていたのである。

 『天空の蜂』は、そうした初期作品を代表する名作だ。原子力発電所を人質にとって要求をつきつけてくるテロリスト、という派手な発端も素晴らしいが、背後にいる人々の声なき声が聞こえてくるような物語の深みもいい。長編何冊分かのアイデアが使われた読み応えのある展開で、ラストには感動が訪れるのである。本書を読んで、日本という国の脆弱すぎるあり方に驚愕した人も多いはずだ。そうした真実を描き出した意欲作でもある。作者の創作にかける熱い思いが伝わってくるようだ。

【読者からの声】

■すごくよく練られていて緊迫感がある。手に汗握る展開がとっても好きです(29歳・会社員)

■登場人物たちの自身と仲間の仕事に対する絶対的信頼に泣ける(38歳・自営業)

■テロの部分だけではなく、原子力発電に関わる人々の意識にぞっとさせられた(24歳・学生)

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