『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞し、多くのベストセラー作品で知られる作家の東野圭吾さんが、7月23日に大腸がんで亡くなられました。
CREA読者にも圧倒的な支持を誇る作家であった東野さん。そこで今回は、2009年9月号の雑誌CREAで実施した「読者500人が選んだ東野圭吾作品ベスト20」を特別に公開、名作の数々を振り返ります。
また、2025年に発売された『東野圭吾公式ガイド 作家生活40周年ver.』でも作品の人気投票が実施されています(文春文庫からランクインした作品はこちら)。ランキングの違いもごらんください。
※このアンケートは2009年6月にCREA WEBなどで500名を対象に実施し、その結果を集計。その後CREA2009年9月号に掲載されたものです。
※作品情報は2009年9月時点のものです。
◆1位『白夜行』
凶悪事件の陰に潜む 男女二人の思惑
●あらすじ
1973年、質屋の男性が殺害される事件が起きた。容疑者として浮上した人物の娘・西本雪穂と被害者の息子・桐原亮司の人生は、奇妙な交錯を見せる。二人が現れた後には必ず凶悪犯罪の影が……。(集英社文庫)
読者の想像力をかき立てる、圧倒的物語世界
『白夜行』に描かれているのは、東野圭吾だけが書くことができる物語の世界である。1位に選ばれたのは当然と言える。
なんといっても、先の読めない物語展開が素晴らしい。ストーリーの随所に驚きがあるのだ。冒頭で読者が行った予想は、絶対に当たらないはずだ。そのくらい本書は意外性に満ちている。ちなみに、本書がTVドラマ化されたときには、物語の構成が大幅に変更されていた。そのままの形では映像化が難しかったということだ。したがって映像版と小説版は別物と言ってもいい。ドラマでのみ『白夜行』を知っている方は、この機会に迫力に満ちた小説版も体験してみていただきたい。
第二の魅力は、物語のスケールの大きさである。長いスパンで展開されるストーリーは歴史の重みを感じさせ、既存の昭和史を暴露するかのような説得力に満ちている。文中には実在の事件が散りばめられており、自分の記憶が上書きされるような新鮮な読書感覚が味わえるはずだ。
そして心に迫る人間ドラマ。西本雪穂と桐原亮司という二人の主人公の存在感に注目していただきたい。両者の関係は、他のミステリーや恋愛小説には出てこない特殊なものだ。東野は完全にオリジナルの人間像を創造したのである。安っぽい同情や共感を拒む、圧倒的な人生劇が堪能できる。読み終わったとき誰もが、自分の中にいる雪穂と亮司に気付かされるはずだ。
【読者からの声】
■東野さんを好きになったきっかけの作品。読めば読むほど深く組み立てられていて、よくこんなことを思いついたなぁと感心させられっぱなしだった(39歳・主婦)
■読者の想像力をかき立てる作品だった。世界観に引き込まれ、展開が気になるのでいっきに読んだ(27歳・会社員)
■内容の非日常さ、それでいてひとつひとつのエピソードは日本のどこかで現実に起きていそうな感じがしたことにゾクゾクしました(31歳・事務員)
■主人公の心情が全く語られないドライな文体がものすごくカッコいい(34歳・主婦)
■特にラストが悲しくて仕方なくて読んだ後も数日喪失感を感じていました。この話を忘れることはありません(28歳・会社員)
