「胆のう、ですか」

「胆のう、ですか」

「はい。血液検査で炎症の反応が上がっていますし、超音波とCTで確認したところ胆のうに石がありました」

「胃がんとかじゃないんですね……よかった」

 小さく安堵のため息を吐いたAさんの妻。

「はは、お気持ちはわかりますが、よかったって言うのは旦那さんがかわいそうですよ! まあ、痛みの場所がみぞおちに近いので胃の病気だと思われたのでしょう。痛みの反応が強いようなので、このまま入院していただき、お薬と点滴をしつつ数日から1週間ほど様子を見て、症状が改善しないようであれば手術も検討する必要があります」

 大病ではないことに安堵すると同時に、入院や手術の可能性という医師の言葉がAさんに重くのしかかったそうです。

 とはいえ、まずは早く治すことが先決。Aさんはすぐに会社に連絡を入れ、予期せぬ入院生活が幕を開けました。

◆◆◆

 そこからはあっという間でした。

 会社への仕事の引き継ぎや入院準備は想像以上に手早く済んでしまったうえに、病気が病気だったので食事はなしということで、気分転換にすらならない点滴をひたすら打たれるのみ。普段からあまりスマホをいじるタチでもなかったのと相まって、Aさんは瞬く間に手持ち無沙汰に陥ってしまいました。

 こうなると、やることといえば寝ることだけ。昼間から柄にもなくウトウトと過ごす日々を繰り返すうちに、Aさんは夜に寝付けなくなってしまったそうです。

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