Aさんは瓦礫だらけの床に横たわり…

「おい! みんなあれ!」

 そろりそろりと朽ちた階段を避けつつ降りていくと、地下の瓦礫だらけの床にAさんがこちらに背を向けて横になっているのが見えました。

 彼の名を叫びながら駆け寄る一同。

 肩を揺すっても起きない彼の様子にBさんが戸惑っていると、メンバーの女性が甲高い悲鳴をあげました。

「あ、足が……」

 視線の先に目を向けると、Aさんのふくらはぎあたりから、細い鉄骨のようなものが突き出し、患部が赤く滲んでいたのです。

「嘘だろ……おい! A起きろって!」
「ヤバイヤバイ、救急車呼んだほうがいいよ」
「こんなところすぐ来てくれないだろ!」
「私たちがここ入ったってバレたらやばいんじゃない……?」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」

 プルルル……プルルル……。

「おい、お前何して……」

 言い合いの最中、物音に気がついたBさんが振り返ると、Eさんが横たわるAさんの上着から携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけているところでした。

「すみません! あの、A、Aくんのお母さんですか?」

 地下に行った姿を見ただの、記憶が曖昧だのと皆を混乱させることを無責任に言ったばかりか、この状況で勝手にAさんの両親に電話をかけるだなんて……――Bさんは無軌道な行動ばかりするEさんに怒りを覚えたそうです。

「ええ! そうなんです! はい、サークルの旅行で……はい、旅館です、廃墟の。はい……はい……そうです。はい、Aくんが今、階段から落ちてしまって…………そうだと思います。僕もこの世にはひどいことにまみれていると思います。はい、ええ」

次のページ Eさんがしゃべり続けていた戦慄の内容