2人が向かった先のアパートには…
ワンボックスカーが停まったのは、あるアパートそばのコインパーキング。
「あそこの3階だから」
先ほどまでの饒舌さはどこへ行ったのか。アパートのエレベーターで上がるにつれてUさんの口数はめっきりと減り、その顔色は青ざめていました。
廊下を歩き、とある一室の前に着いてインターホンを鳴らすと、中から自分たちとは2、3歳ほど年上に見える精悍な顔つきの男性が顔を出しました。
例の“霊感持ちの男”の姿は想像より誠実そうで、肩書きからイメージされる胡散臭さが感じられなかったことにHさんは驚いたそうです。
「本当に急に来ていただいて申し訳ありません。さあ、中に」
「……お邪魔します」
通されたのはごく一般的な単身者向けの1Kの部屋でした。壁際に置かれた黒い合皮のローソファ。棚に無造作に並ぶのはプロテインの缶やサッカー雑誌。等身大の若い男の生活がそこにはありました。
そんな部屋の真ん中のローテーブル脇で座っていたのは、いつものメンバーのうちの1人だけ。てっきり、Tさんら残り3名全員が部屋で待っていると思っていたので、意外に思ったそうです。
しかし、それよりも気になったのは、本来ならばベランダに続く掃き出し窓が見える辺りに作られた、ホームセンターで売っているような大きなパーテーションで仕切られた不審な一角の存在でした。
「どうぞ、ここに」
Hさんはローテーブルを囲むようにUさんら3名と床に腰掛けました。
「さっそくで申し訳ないんですけど――」
