起きてしまった現象…「あれ? おい、Aは?」

「うおあっ!!」

 すると突然、一礼していたE先輩が悲鳴をあげたのです。

「えっ! うわっ!」

 直後に皆もその理由に気がついて悲鳴をあげました。

 いつの間にかE先輩の足元にグシャグシャに丸められた貼り紙が転がっていたのです。

 パニックになった一同は蜘蛛の子を散らすように車に駆け込み、急発進でその場を後にしました。

「あれ? おい、Aは?」

 人通りの多くなった道に差し掛かったところで、車内にいたはずのAさんの姿がないことに気がつきました。

 戻るとは言いだせず、かといってそのまま帰ることもできなかった一同。

 仕方なく近くのファミレスに逃げ込むと、そこで近所に住んでいた後輩を2名呼び出し、詳細を告げずにAさんの安否確認に行かせたのでした。

 Aさんは、あの建物の前で頭から血を流して倒れた姿で見つかりました。

 後輩たちがその場ですぐに救急車を呼び、命に別状はありませんでしたが、土下座して頭をアスファルトに擦り付けていたせいで血を流していたそうです。

 Aさんは傷が治った後も『奇妙な幻覚が消えてくれない』と周囲に漏らすようになりました。しかし、お見舞いに行くと嬉々としてUさんらにこう言うというのです。

『でも、貼り紙にあったように全部幻覚だと思うようにしているし、親族の勧めで行った神社でお祓いをしたおかげで失明も免れたよ』と。

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