102歳を迎えた作家の佐藤愛子さんは現在、介護施設に入られています。100歳になっても執筆活動を続けていましたが、家族の目から見ると、徐々に体の衰えが目立ってきたそうで……。

 愛子さん最後のインタビューも収録! 娘の杉山響子さん、孫の杉山桃子さんが「佐藤愛子」の家と仕事とお金と恋について語った『ぼけていく私』から、一部を抜粋、ご紹介します。

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100歳になっても書き続けた

桃子 2022年の秋に帯状疱疹を患って、ガクンと衰えましたね。

響子 もうだめだと思ったんです。そこから回復したのには、本当に驚きました。100歳で『思い出の屑籠』を書いたんですから。

桃子 90歳で『晩鐘』(2014年 文藝春秋)を書いて「断筆する」って言ったとき、私は「ああ、作家・佐藤愛子の死だ」と思って泣いたんですよ。それなのに、断筆はどこに行ったのって。

響子 母を見ていると機関車みたいだなと思うことがあって。機関車はコークスをくべて走るけれど、なくなっても余力で走りますよね。母のコークスは『晩鐘』を書いて切れたと思います。でもそこからも余力で書いている。機関車として走り続けたと思うんです。

 『九十歳。何がめでたい』(2016年 小学館)と『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』(21年 小学館)は編集者のおかげでリラックスして書けた。昔のことがますます懐かしくなって、記憶は鮮やかですからそれを集めて『思い出の屑籠』を書いた。書いている時、子どもの頃に住んだ家の見取り図を載せてほしいと言ってました。母が見たかったんだと思います。

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