「このことみんな知ってるの?」

響子 2024年に母は肋骨と大腿骨を折りました。母が自分の認知症にショックを受けて、「このことみんな知ってるの?」と言うので、「まだ誰にも言ってない」と答えたら、ホッとしていました。でも誕生日にお祝いをたくさんいただき、(問い合わせの人たちには)家にいないことを隠すわけにもいかないから、「ショートステイ先で転んだ」ということだけはお伝えしました。

桃子 昼寝から起きると何時かわからないようになったのが始まりで、認知機能も徐々に低下していきました。

響子 母が骨折した年の10月に桃子が本(『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』コスミック出版)を出し、そこで母の衰えをはっきり書きました。深夜や早朝でも呼ばれることが続いていましたね。

桃子 私のことをわからなくなったりすることもありました。病院の祖母と電話で話したのですが、小さい子に話すような声色になっていて、「桃子」でなく「桃ちゃん」のイメージになっているのかなと。

響子 それでも母の中には活火山があって、常にエネルギーがわいてくる。細胞は衰えているのにエネルギッシュ。だから転んだりするんです。病院で「ご飯はどう?」と聞いたら、「こんなまずいもの、生まれてこの方、食べたことないね」って。ナースステーションの近くで、ですよ。

桃子 しかも耳が遠いから、声が大きい。

響子 桃子が髪をピンクにしたので、「また髪の毛、派手に染めたよ」と言ったら、「何やってるんだ」って。

桃子 いいじゃないか、別に。

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ぼけていく私

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次の記事に続く 「施設でじいさんばあさんに号令かけてる」認知症になった...