目にも留まらぬ? スーパースローな大法要
今日ご紹介するのが【光明真言土砂加持大法会】(こうみょうしんごんどしゃかじだいほうえ)です。
土砂を加持してどうするのでしょう!? なんとも変わった名前ですね。
この大法会は文永元年(1264年)に始まり、一度も途切れることなく執り行われています。
現在、10月3日~5日の3日間、昼夜休むことなく厳修されています。
【光明真言】は大日如来のご真言で、古来より真言宗で最も重要視されてきました。
《オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン》といい、漢字では23文字で構成されています。
全ての罪障が消滅するというありがたい光明真言によって、本尊前の土砂器に入れられた土砂を加持して清めるのです。この清い土砂を墓所に撒けば、亡き人はたちまち極楽往生し、田畑に撒くと五穀豊饒になると言われます。
本堂の中はおびただしい数の灯籠の淡い光に荘厳され大変厳かで幻想的です。
定時になると太鼓の合図で香色の律衣を着た僧侶たちが入堂します。
様々な式次第の中で印象的なのは「綱維問訊」(こういもんじん)です。導師の振鈴により、一﨟(長老)の前で灰色の衣を付けた僧侶(綱維)が五体投地という礼拝を行います。
その動きは時が止まったかのようなスーパースローモーション。じわじわと足を折り、膝をつき、拝礼し、またもとの姿勢にもどるまでにおよそ15分をかける驚愕の「遅さ」。その様子がまるで提灯をたたむようであることから「提灯たたみ」とよばれるようになりました。
スケッチを何枚か描いてみたのですが余裕で時間が余りました。
問訊は、この後の行道の許可を訊ねていると言われています。
2015.10.02(金)
文・撮影=中田文花