娘とのシーンには、演じた土屋のらしさが詰まっている
――これまで森田さんは、どちらかというと鋭い役柄を演じることが多かったですよね。今回の土屋役には、新鮮さもあったのではないでしょうか。
そうですね。今まで演じたことのない役柄でしたが、楽しかったです。
土屋って、目の前にいる相手によって、表情が違うんです。とくに家族と一緒にいるシーンは、それがよくあらわれていると思います。別居している妻に対してももっと言いたいことがあるはずなのに、それを我慢して押し殺している。一方で、娘には嫌われたくないという気持ちがあるから、優しく接する。土屋にとって娘が希望のような存在だということがよくわかりますよね。
娘の言葉にいちいち細やかに反応して「そういうこと言うんだね」ってショックを受けているのもらしさが出ていると思います。うまく気持ちを伝えられない不器用さも含めて、父親としての彼の一面が見える場面になっているはずです。
――森田さん自身を、土屋と重ねた部分はありましたか?
演じる上では役に共感できるかどうかはあまり大きなポイントではないので、自分の共通点は意識しないですが、彼が本当にマンガに人生をかけている人間なんだろうかってことはいつも考えていました。土屋のキャラクターから考えると、人生なんて重いものをマンガに背負わせているわけではないんじゃないかな、とも思えたので。
でも、土屋のように自分の未来に不安を感じた経験は、誰にでもあるんじゃないですかね。周りの人から嫌われたくないとか、本当にやりたいことってなんだろうとか、今やっているこの仕事は自分にとってやりがいのあることなのか、とか。この映画に登場している人物たちは、立場が違ってもみんなそうした迷いを抱えているんだと思います。
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森田 剛(もりた・ごう)
1979年、埼玉県生まれ。2005年、劇団☆新感線の『荒神~Arajinn』で舞台初主演。主な映画出演作に『ヒメアノ~ル』『前科者』『DEATH DAYS』『白鍵と黒鍵の間に』『劇場版 アナウンサーたちの戦争』『雨の中の慾情』、舞台出演作に『ロスメルスホルム』『台風23号』、『ヴォイツェック』『砂の女』などがある。10月8日より上演開始する舞台『僕らの時代じゃない』に出演予定。
衣装クレジット
パンツ 17,800円/KIT VINTAGE、その他/スタイリスト私物
『見上げてごらん』
出演:森田 剛、森川 葵、川上友里、阿部 寛、松本まりか、武田鉄矢ほか
監督:森本晶一&佐藤快磨
10月30日全国順次公開
巨匠マンガ家のアシスタントを長年勤める42歳の土屋輝一。夢を諦めきれず、仕事や家族との関係に悩む彼のもとに、ある日、新たなマンガ企画が舞い込む。迷いを抱える仲間とともに一歩を踏み出し、自らの未来を見つめ直していく物語。
https://gaga.ne.jp/miagetegoran/
