「支えたい人」か「安心させてくれる人」か…

 そんな環境下で浮き彫りになるのは、「年齢=これまでの人生の積荷の重さ」という圧倒的な事実です。その総決算として前半最大のハイライトとなったのが、「しぃくん・むぅこ・博士」の三角関係でした。

 治療が難しい先天性の病気である、脳動静脈奇形を抱えながら、真っ直ぐに愛を伝えた39歳のしぃくんは、従来の恋愛ドラマなら間違いなく「結ばれるべき主人公」です。だけど、むぅこが最終的に選んだのは、途中参加からただ静かに寄り添い続けた50歳の博士でした。

 児童養護施設で働き、かつて入院していた妹を支えた経験から「人を支えることが生きがい」と語っていたむぅこ。「常に誰かをケアする側」に回ることで自分の輪郭を保ってきた彼女にとって、危うさと情熱を併せ持つしぃくんは「これまで通りの支える人生(=呪縛)」を想像させる、自分の未来をイメージしやすい存在だった。

 しかし、彼女には「養育里親になる」という大きな夢があった。ここで決定的な存在となったのが、肺腺がんステージ2Bを乗り越えた博士です。

 むぅこのこれまでの背景から、彼女を「支える側」と捉えたしぃくんとは対極的に、博士は彼女に母性を求めるのではなく、その夢を深く理解し、同じ方向を向いて歩む覚悟を示した。

 現実の婚活市場ではがんに対する偏見が強く「病気やマイナスな部分は隠せ」と言われがちですが、この番組は自己開示を通じてその理不尽さを鮮やかに反転させます。

 むぅこは博士の背負ってきた生死の境の重みに共鳴し、「一方的に支える人生」の呪縛から卒業して「自分の夢を対等に追えるパートナー」を初めて選び取ったのです。

 史上初の「実際の婚姻」に至ったという事実は、大人の結婚が若者の勢いなんかではなく、「残された命の時間をどう引き受け合うかという契約」なのだと静かに、かつ強烈に教えてくれます。

次のページ バラエティの「たてつけ」を越えてきた剥き出しの本音