「Billlie(ビリー)のツキ」という名前を聞いて、すぐにピンとくる人は、日本ではまだ少ないかもしれない。

 本名は福富つき。かつて雑誌「Popteen」の専属モデルオーディションを勝ち抜き、「タルちゃん」の愛称で専属モデルとして活躍していた。9月21日に24歳の誕生日を迎えた「タルちゃん」は、今、韓国で愛される日本人タレント兼アーティスト「ツキ」として脚光を浴びている。

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 彼女のこれまでを振り返ると、「才能に恵まれた者のサクセスストーリー」ではなく、紆余曲折あり、涙ありの「ど根性物語」が見えてくる。まるでスポ根漫画のような展開を経て、ようやく大きな花を咲かせつつあるのだ。

 ツキの才能は中学時代に早くも発掘されていた。しかし、自らの手でチャンスを手放した、苦い過去がある。

韓国の大手事務所のオーディションで2万人から選ばれた

 ツキがK-POPを好きになったのは、BoAと東方神起のファンだった親の影響だという。幼い頃からK-POPが流れる家で育ち、4歳からダンスを習い始めた。小学生の頃にテレビで見た少女時代をきっかけに、本格的にのめり込んだ。「あまりに綺麗で、衣装もパフォーマンスもかっこよかった」と、後のインタビューで語っている。

 中学1年生のとき、友達に「一緒に受けてみない?」と誘われ、韓国の大手事務所・SMエンターテインメントのグローバルオーディションに挑戦。約2万人の参加者の中、ツキだけが合格した。家族には内緒で参加していたため、合格の知らせが届いた時は親を驚かせたという。悩んだ末に「やりたいことをやりなさい」と、ツキの親は幼い娘を韓国へ送り出した。

夢見たデビューへの切符を自ら手放し、帰国した過去

 まだ13歳、韓国語も全く話せない状態での渡韓。レッスンも日常会話も、何もかもが辛く感じられたという。中学生で異国へ来た孤独や、プレッシャーは計り知れない。ホームシックになってもおかしくない環境だ。それでも彼女は「韓国語がある程度できるようになるまで」と、半年間も親との連絡を断ってまで日本語を封印し、韓国語しか使わない生活を送った。

 ストイックすぎる時間を経て、ツキの韓国語は流暢になった。中国からやってきた同い年のニンニン(現・aespaメンバー)とは、互いに外国人練習生として支え合ってきたというエピソードが知られている。

 しかし、渡韓して2年半後。ツキはSMエンターテインメントを離れ、日本に帰る決断をする。海外生活へのストレスや孤独感……ツキが帰国を決めた理由は、本人しか知る由はないが、誰よりも早く掴みかけた夢の切符を手放し、挫折を味わった彼女の悔しさは想像に難くない。

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