幅が3mもある衣装は「ロングショットで」
近田 「魅せられて」といえば、衣装もまた印象的でした。手の先に棒を持って、鳥の翼みたいに裾から手首までがつながった扇状のドレスを大きく広げて。
ジュディ 最初の1年近くは、棒は持ってなかったんですよ。
近田 そうだったんだ。いつから棒を持つようになったんですか。
ジュディ 1979年の紅白歌合戦がきっかけでした。あの頃の紅白って、本番まで衣装を見せないんです。本番で、棒を持って手をバーッと広げたら、盛り上がりましたね。大成功でした。左右の幅が3mになるものだから、あらかじめディレクターに「サビはロングショットでお願いします」って伝えましたよ。
近田 引きじゃないと全体が収まらない(笑)。
ジュディ 袖に仕込んだ棒を自然にサッと手に取れるように、2週間毎日稽古したことを覚えています。手探りしてる様子が伝わっちゃいけないから。
近田 知られざる苦労があったんですね。
ジュディ あの衣装、外で歌う時に風が吹いてくると大変なんですよ。凧みたいなものですから。吹き飛ばされないように耐えなきゃならない。パルテノン神殿で歌った時は死ぬかと思いましたよ。あそこは風が強くってねえ。前傾姿勢で頑張りました。
近田 〈Wind is blowing from the Aegean〉を地で行ったわけだ(笑)。
ジュディ おかげさまで、あの衣装と一緒に世界中を巡りましたね。アメリカにも、パリにもサンパウロにも行きました。
近田 あのステージングなら、どこに行ってもウケるでしょうね。
ジュディ ただ、舞台が小さいと、ミュージシャンにぶつかっちゃう。だから、棒の部分が短い衣装も作りました。ステージの大きさに合わせて、「魅せられて」「中魅せられて」「スーパー魅せられて」と3通り用意しているんです。
近田 10月に東京国際フォーラムで行われる歌手生活60周年記念コンサートでは、もちろん「スーパー魅せられて」が拝見できるわけですね。
ジュディ ええ。今、修理に出しているところです。さらに豪華さを増してご披露する予定ですので、みなさま、ぜひ足をお運びください。
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ジュディ・オング
1950年、台北生まれ。3歳で来日し、11歳の時に日米合作映画『大津波』で俳優としてのデビューを果たし、さまざまな映画、ドラマ、舞台に出演する。その一方、16歳で「星と恋したい」をリリースし、歌手としても活動を開始。1979年に発表した「魅せられて」は、200万枚の大ヒットとなり、日本レコード大賞を受賞する。25歳から木版画家としても活躍し、日展特選など高い評価を受ける。2025年末には、47年ぶりに出演した台湾映画『陽光女子合唱團』が公開され、台湾映画歴代興収1位を記録した。2026年10月15日(木)には、歌手生活60周年を記念し、東京国際フォーラムAでコンサート「Diva60 The Legend of Judy Ongg」を開催する。
近田春夫(ちかだ・はるお)
1951年東京都世田谷区出身。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、最先端のジャンルで創作を続ける。文筆家としては、「週刊文春」誌上でJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたって連載した。著書に、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』『グループサウンズ』(文春新書)などがある。最新刊は、半世紀を超えるキャリアを総覧する『未体験白書』(シンコーミュージック・エンタテイメント)。2026年8月には、近田春夫&ハルヲフォン with イリア(ジューシィ・フルーツ)として新曲『Oi Oi AI-未体験ゾーンへ』をリリース。
X @ChikadaHaruo
Diva60 The Legend of Judy Ongg
歌手・俳優・木版画家として国内外で活躍を続けるジュディ・オング(翁倩玉)。現在、出演映画『陽光女子合唱團』が台湾映画興行成績史上No.1作品として改めて注目を集める中、歌手生活60周年を記念した特別公演を開催。
開催日時 2026年10月15日(木)
開催場所 東京国際フォーラム ホールA
出演 ジュディ・オング
ゲスト 小林幸子、中村雅俊
チケット料金 SS席18,000円※スペシャルグッズ付き、S席12,000円、A席10,000円
https://judyongg.com/
