7,000万年の時が創り出した「絶景の青」。標高2,000mの秘境・サイラム湖へ

 まずラクダ乳入りの飲むヨーグルト。ラグダ乳は中央アジアでは広く飲まれていて栄養価も高いが、塩味があってクセもあるため、飲みやすくアレンジした品とのこと。またこの地域に多く住むウイグル族の伝統の帽子、イスラム教徒である印とされる“ドッパ”が売られていた。

 どちらもハードルがやや高いので、「新疆奶糕(シンジャンナイガオ)」というミルクアイスを味わってみた。「生乳50%以上」では躊躇われたと思うが、「生牛乳50%」という表記が決め手になった。濃厚な舌触りとコクのある風味は、ちょっと日本のミルクアイスには無い美味しさだ。

 ホテルに投宿した翌朝、初夏だというのに周辺は4度まで冷え込み、周囲の山々はほんのり雪化粧に。ところが陽射しも強烈なので、出発時間の8時過ぎには山々は再び青々とした姿に戻る。まだ工事が終わっていないホテル・エントランスでは、ポピーの一種、シベリアヒナゲシがオレンジや黄色の花を咲かせていた。いよいよ今回の旅のハイライトと聞いていた、賽里木湖(サイラム湖)へ向けマセラティを走らせる。

 サイラム湖は周囲の山脈から流れ込んだ雪解け水がたまってできた湖で、標高2071mに位置する。周りに岩塩があることもあって、わずかに汽水湖でもある。

 この水は流れ出す川をもたず、陽射しと乾燥した空気で少しずつ蒸発するのみ。7000万年前の造山運動、つまりインドプレートがユーラシアプレートに衝突した力でヒマラヤ山脈だけでなく天山山脈まで隆起した、地殻変動の帰結だという。

 この地で昔、チンギス・ハーンがモンゴル族の主要な首長たちを一堂に集め、盛大な祝宴を催したという伝説も頷ける。古くは“浄海”と呼ばれたその水面は、他の湖でも外洋でも見たことがないほど、深々と濃い青色をしている。万年雪を頂いた山々に囲まれ、その麓から緩やかに繋がる緑の草原とのコントラストは、絶景だ。

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