CREA Traveller 2026 夏号は「ポルトガル」特集。ヨーロッパ大陸の西の果て、大西洋の大海原を見つめてきたポルトガルの歴史と文化には、海との繋がりが常にあった。郷愁を表現する“サウダーデ”を胸に秘めた情緒的な側面に触れ、海風と太陽、人々の温もりで健やかな感性を取り戻す旅へ。

CREA Traveller 2026 夏号

海風と太陽に誘われてポルトガルに会いに行く

特別定価 1,800円

 “美術館のような街”と言われるポルトは、アズレージョで装飾された教会、ステンドグラスから光が注ぐ芸術的な書店など、華麗な宝物で旅人を迎える。


“この街に文化の聖地を”という想いで誕生した

 中央の赤い階段、壁に施された繊細な細工、自然光を取り入れるステンドグラス……。ファンタジー映画のシーンを思わせる“世界で最も美しい本屋”として名高い「レロ書店」は、開店前から行列ができるこの街で最も人気のある場所だ。

 創業は1906年。ワイン関係の仕事をしていたジョゼ・レロ、アントニオ・レロ兄弟が文学への情熱から立ち上げた。設計したのはエンジニアのフランシスコ・ザビエル エステベス。市長でもあった彼は“文化の聖地になる場所を作る”という想いで、中世のゴシックの復興であるネオゴシックとアール・デコ様式を用いた斬新な内装を生み出した。

 書棚のフレームや天井は漆喰を木製に見えるようにデザインし、階段や構造体にはコンクリートを用いるなど、高い建築技術が詰まった“作品”。

 1920年以降になるとポルトガルにおける文学書の輸出入業者となり、シェイクスピア全巻をポルトガル語に翻訳・出版した。2000年代に入り、“世界で最も美しい本屋”と称されたことで、たくさんの観光客が押し寄せた。店内だけを見て帰ってしまう客が多くなったため入場料制にし、本を購入すればその分は割引することで、書店としての本分を守っている。

 取り扱うのは文学を中心に旅や料理、写真集など2万冊以上。地下には『ハリーポッター』の初版本をはじめ希少本を展示しており、プラチナ・バウチャーを購入すれば見ることができる。レロ書店を訪れるきっかけは観光だったとしても、思いがけない一冊との出合いが待っている。

レロ書店(Livraria Lello)

所在地 Rua das Carmelitas, 144, Porto 
電話番号 22 200 2037
営業時間 9:00~19:30
入場料/12ユーロ~ ※要予約
https://livrarialello.pt/

CREA Traveller 2026年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。