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なぜパリジェンヌは年を重ねることにポジティブなのか?

――“パリジェンヌ”が今でも全世界から憧れられる理由は、どこにあると思われますか?

 パリジェンヌの魅力的なところは、年齢を重ねることに対する前向きな意識です。最近はフランスでもヤングカルチャーが盛り上がっているので、若さが称えられる一面もあるんです。

 でも、パリジェンヌたちは年を取ることを怖いことだと捉えてはなく、むしろ経験が豊かになるというふうにポジティブに考えています。若いから美しいというのではなく、要するに“アティテュード(心の持ち方や姿勢)”の問題なんです。

 パリジェンヌというのはパリに住んでいる女性のことを指すのではなく、“アティテュード”を持っている女性のこと。

 いかにして美しくあるかという“アティテュード”さえあれば、いつだって美しくいられるのだという姿勢こそ、女性を“パリジェンヌ”にしてくれるのです。

――なるほど。パリ生まれでなくても“パリジェンヌ”としての姿勢を持つことは可能なのですね!

 そのために本書では、美しくあるための仕草についても触れています。たとえば、笑顔。

 第2章ではこう書いています。

 笑った際口もとにほうれい線が現れたとしても、心地よい事柄を表現している時には皺は美となりうるのです。

年を取ることを恐れて自分の表情をこわばらせてしまうのは誤りです。
いきいきとした顔は、表情のない美しさよりも人を惹きつけるものです。
このことはよく覚えておいてください。

 エイジレスを目指す現在の美容の感覚からすると、正反対かもしれませんが、新鮮な視点だと思います。

2025.03.21(金)
文=前田美保
撮影=橋本 篤