この記事の連載

――今作の主人公・タパ子ちゃんは、最初から告発系インフルエンサーを狙っていたわけではなく、たまたまひき逃げを目撃し、撮影した動画をSNSにアップしたら、バズった。その感覚が忘れられなくなって告発系インフルエンサーを目指します。

ふせでぃ 今はカメラ機能の付いたスマホをみんなが持っているから、撮ったものをすぐに発信できる時代です。だからこそ、タパ子がやったことも、「あり得るな」って感じていて。

 私も気を付けてますよ。道端で撮影していたらなるべく映らないようにするし、旅行客っぽい方のカメラにもできるだけ入らないようにしています(笑)。

芸能人御用達のバーへ取材

――漫画化に向けた取材や資料集めでは、どんなことをしたんですか?

ふせでぃ 今作では芸能人が訪れるバーが登場するので、私も実際に行ってみました。でも、かなり緊張しちゃって。主人公のタパ子はお酒が飲めないんですけど、自分も飲めないので、お店に貢献することもできず。申し訳ない気持ちで取材し、漫画で反映させていただきました。

――そういうお店って本当にあるんですね。ほかにはどういうことを?

ふせでぃ タパ子に惹かれる警察官が登場するんですけど、警察官の制服って意外と資料がないんですよ!腰まわりの警棒とかがどう収納されているのかわからないし、マイクがどこにつながっているのかも疑問で。3D素材を使ったり、あとは一度、渋谷区の警察官に「撮らせてください」ってお願いしたりしました。

――アポなしでですか?

ふせでぃ そうです。使用用途を伝えたんですけど、断られちゃいましたね。その代わりに、「中央区にポリスミュージアムがあるよ。広報もあるから聞いてみたら」って教えてくれました。最近は私服の警察官が登場するシーンが多くなったので、いつかプライベートを取材したいです。

インタビュー【後篇】に続く

ふせでぃ

七夕生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学卒業後、女の子の切ない恋模様を描いたイラストをSNSで発表。その際のイラストを漫画形式でまとめたことを機に、漫画家として活動を始める。著書に『悪いのはあなたです』『明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません』(以上文藝春秋)、『全部失っても、君だけは』(講談社)など多数。

死ぬまでバズってろ!! 1

定価 792円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

次の話を読む「レイアースは海ちゃんが好き」マンガ家ふせでぃが“人生をかけて追う”モチーフとは

2024.09.27(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=石川啓次