ワケあって楓に近付くためにホストクラブに潜入した、綾野剛さん演じる地面師・辻本拓海。別人になりすますために特殊メイクで顔に火傷のアザを作っていたのですが、楓は第一声で「うぉ、きもっ! なにその顔」と遠慮なく言い放ち、「だってどう見たって人生終わってんじゃん」と半笑い。ルッキズム批判が叫ばれるこの時代に、カウンターパンチをぶちかますような人間性です。
楓はその店のナンバーワンなので、他のホストたちや付き人になった拓海はヘコヘコしているのですが、それをいいことに調子に乗りまくっている、典型的な“御山の大将”。
しかし楓は少女買春しており、その秘密を拓海が握って立場逆転。
脅されて「やります、なんでもやります!」とヘタレた負け顔を披露したかと思えば、その後は拓海に従順になり、手下のように「お疲れさまです」「すんません」と口調も劇変。まるで最初から三下キャラだったかのように、下っ端へ華麗なる“転落”を果たし、視聴者から愛されるキャラに。
正直、この楓の変わり身の早さはストーリーの本筋にさほど関係ないのですが、気持ちいいほどプライドを捨ててヘコヘコしてくれるので、溜飲が下がること間違いなし。短期間でカタルシス全開なので一見の価値ありなのです。
観るべき理由3:「え、死んだ…?」ラストに小池栄子が見せた“ナゾ”
地面師チームの1人で地主になりすます人物のキャスティング担当が、小池栄子さん演じる手配師・麗子。
手配師はなりすまし候補者を探してスカウトし、地主の個人情報や不動産情報を叩き込むところまでが役割で、本来ならば交渉の場には出向かないのですが、土壇場でキャスティングした女性が降りたため、イレギュラーで自身が地主を演じることに。
麗子が頭を丸めて急遽尼僧に扮した交渉の場は、シリアスで緊迫感のあるシーンの連続なのですが、どこかドタバタコメディ感もあり、絶妙な緊張と緩和が描かれていきます。
2024.09.30(月)
文=堺屋大地