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監督の思いが映画全体に反映されていることが嬉しい

――桃子というキャラクターに共感する面はありましたか?

 共感か~、いつもそれ聞かれるんですよね。どうして聞くのかな、と思ったりします。

――共感について映画の取材でお聞きするのは、役作りのアプローチのヒントとして、役に対する役者さんの個人的な視点、演じる役がご自身の価値観や経験と重なる面があるか、共感が演技に影響しているか、映画の観客や記事の読み手と通じる面があるかどうか、といった理由でしょうか。

 役を演じる上で共感は必要です。ただ、ある程度の距離を保っていないと芝居ができないから……難しいな。私とはぜんぜん違う人ですけれど、演じている最中は理解しようと努めています。

――完成した映画をご自身で観た時は、どのように感じましたか?

 監督の存在を強く感じました。ここをこういう風に見ていたのか、という監督の視線や思いが映画全体に反映されていることがよくわかって、それが私にとってとても嬉しいことでした。

――ご自身の好きなシーンや注目してほしいシーンはありますか?

 特にないですね。どの映画でも、特別なシーンというのはありません。自分が出演している映画って、そんな冷静に見られるものじゃないですからね。

――今後やってみたいことはありますか?

 なにかなあ。趣味がないので、やりたいことも特にないんです。……温泉いいですね。温泉に行きたいです。

――最後に、これから映画を観る読者にメッセージをお願いします。

 とにかく観てください。私からはそれだけです。とにかく観てほしいですね。

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江口のりこ(えぐち・のりこ)

1980年4月28日生まれ、兵庫県出身。00年に劇団「東京乾電池」に入団、02年に『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』で映画デビュー。20年の映画『事故物件 恐い間取り』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年は19年の『愛がなんだ』、22年の『ツユクサ』『川っぺりムコリッタ』、23年の『BAD LANDS バッド・ランズ』、24年は主演作『あまろっく』、そして『お母さんが一緒』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』『プルーピリオド』など。 TVドラマは「時効警察」シリーズ、「半沢直樹」など出演多数。

映画『愛に乱暴』

2024年8月30日(金)全国ロードショー
原作:吉田修一『愛に乱暴』(新潮文庫刊) 
出演:江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみか、水間ロン、青木柚、斉藤陽一郎、梅沢昌代、西本竜樹、堀井新太、岩瀬亮、/風吹ジュンほか
監督:森ガキ侑大
https://www.ainiranbou.com/

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2024.08.29(木)
文=あつた美希
写真=山元茂樹