零れ落ちてしまう子どもたちの物語
――『零れるよるに』というタイトルに込めた思いを聞かせ下さい。
有賀 世間から零れ落ちてしまう子どもたちのお話なので、『零れるよるに』というタイトルにしました。心情的にも我慢して零れてしまう気持ちがあると思うので。
あとは全体の世界観として夜のイメージがあるんです。漫画で深くは描いていないですけど、児童養護施設では夜になると強烈な不安に襲われる子が多いそうなんです。だからタイトルと主人公の名前につけました。
主人公の「よる」は、本当の名前は漢字で「夜」なんですけど、漫画で夜の場面を描くとわからなくなるから、ひらがなにしています。彼女は愛情に飢えていることをシンプルに表現していて、私も気持ちに寄り添える気がします。本当に寂しくて愛情が欲しいんだろうなと思いますね。
――天雀くんの名前の由来は何ですか?
有賀 思いつきなんですよね。なんとなく格好いいなと思って。天雀ってひばりという意味があるんですけど、ひばりは朝の鳥なので、主人公のよるにとって朝の存在になれたらいいなという思いを込めています。
――2人は千葉県の外房に住んでいるイメージなんですよね。
有賀 外房は海が美しくて個人的に大好きな場所なんです。でも都会と比べるといろんな意味で不便な場所ですし、選択肢も少ないです。景色がいいだけでは済まされない側面もあるのだと思いながら描いています。
2024.05.31(金)
文=ゆきどっぐ