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人生を振り返ることで改めて発見できたこと

――ご家族の話をするということで、出版にあたってryuchellさんにも相談されたのでしょうか。

peco ryuchellからは、前から「ぺこりんの本欲しい人いっぱいいると思うよ〜」と言われてたんです。でも、当時の私は山も谷もない平凡な人生を歩んでいたので、「私の本なんて3ページで終わっちゃうからいいよ」と言っていて。

 そうこうしている内にryuchellとの関係性が変わったことで、今なら本を出す意味があるかもしれないと思って話したら、「え、絶対いいと思う!」と喜んでくれました。というか、あんたの話やけど一体誰目線やねん、とは思いましたけど(笑)。

――お二人で相談しながら作り上げた部分もあるのでしょうか。

peco 出すことが決まってからは、特に相談はしませんでした。ただ、本の制作時は、ryuchell自身が急激に変化していた時期でもあり、いろんなことに対して複雑な思いを持っていて。

 私も、何度か出さない方がいいかな、と思ったこともありましたが、止められることもなかったし、じゃあ出そうとなりました。

――本の中では、新しい家族のかたちをどのように模索していったのかが赤裸々に綴られています。語ることに躊躇はなかったですか。

peco 作りはじめの頃は、まだ皆さんに家族のことを発表するかしないかぐらいの時期だったので、話すと涙が出てくることもありました。

 でも、人生を振り返ることで、私は自分のことをめちゃくちゃ信じてるんだな、というのは改めて発見できたことです。

――「私なんか」という自己卑下がなく、いつもpecoさんは自己肯定感にあふれていると感じました。秘訣はなんでしょう。

peco 私、「これからの目標」を聞かれるのがすごく苦手で。今しか見てないって言うとかっこいいセリフになっちゃいますけど、高い目標を立てて達成できなかったら自分のことを嫌になりそうだから、最初から目標を立てないんです。

 もし立てるとしても、めちゃくちゃハードルを低くして、絶対できるゴール設定にしているところはありますね。

2024.04.24(水)
文=小泉なつみ
写真=佐藤 亘