南米ルーツの人にとっても、沖縄料理は家庭の味

 筆者が鶴見で出会った南米ルーツの人も、祖父母世代、あるいはその上の世代が沖縄から南米へ移住したそうです。その人たちは、南米の豆料理や肉料理を食べてばかりいたかというとそうでもなく、海外に住む日本人が自力で日本料理をつくるように、現地で沖縄料理を作っていたとか。

 取材した南米ルーツの人は「子どもの頃は南米に住んでいたのですが、当時はおばあちゃんがゴーヤチャンプルーとか沖縄料理をつくってくれました。旅行に出るときは沖縄料理が食べられなくてつらかったです」と言っていました。

 鶴見には沖縄タウンと南米タウンがありますが、そのふたつはまったく別物ではなく、むしろ関係が深かったのです。沖縄料理とボリビア料理のお店「エル・ボスケ」があるのも、ペルー料理屋「エル・パイサノ」というお店で、沖縄そばとペルー中華料理のワンタンスープを掛け合わせたようなメニュー「SOPA SOBA WANTAN」を提供しているのも、沖縄がルーツの南米系の人々にとっては、懐かしい家庭の味だからなんです。

 夜になれば、バーで日本語、スペイン語、ポルトガル語、沖縄弁が飛び交うのをききながら、ブラジル風ソーセージをつまみつつ、泡盛やブラジルで定番のお酒「カイピリーニャ」を飲むこともできる。サッカーなどのイベントがあると、お店はさらに盛り上がるそうです。

鶴見川を渡ると沖縄料理屋と南米料理屋が点在するエリアに

 南米料理屋と沖縄料理屋が点在するのは、鶴見川を渡った先にある潮田というエリアです。鶴見駅から行くのであれば、潮見橋を渡ってアーケード商店街の本町通りを進み、仲通浜町線を歩いていくのがいいでしょう。このエリアは街の雰囲気がのんびりとした感じで、低層の建物が並び、人々や車がゆっくりと通ります。

 このルートで歩いていくと、本町通りにペルー料理屋「KOKY'S PERUVIAN RESTAURANT」があります。仲通浜町線には、「エル・ボスケ」や「エル・パイサノ」、食堂スペースも備えたブラジルショップ「ユリ・ショップ」などがあり、「おきなわ物産センター」という商店や、沖縄食堂が入った「おきつる青少年育成会館」というビルを見ることができます。

2024.02.02(金)
文=山谷剛史