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市場仕入れの絶品魚介類

 この日は運良く、3階の座敷席に座ることができた。大都会の真ん中にいるとは思えない落ち着いた空間で、ここでゆっくりと酒を飲める優雅さといったらない。

 ではでは、今日もビールから始めよう。

 この日のお通しはもみじおろしののった牛たたき。そう、ずぼらのお通しには「手抜き」という概念がなく、いつもお通しの段階でもう「来て良かった……」としみじみしてしまうのだった。

 その日や季節ごとのおすすめはボードに手書きで。どれも魅力的だが、特に魚介類は、大将自らが常に市場に足を運び、確かな目利きで選んだものばかり。やっぱり刺身は食べておきたい。よし、今日はぜいたくに、おまかせで盛り合わせをお願いしよう。

 艶めかしい光沢で脂ののりが一目瞭然のインドマグロを筆頭に、平目、真鯛、レモン仕立てのスズキ、甘海老、つぶ貝が美しく並ぶ。当然、どれを口に運んでもうっとり……王者の貫禄であるまぐろは言わずもがな、レモンの風味がしっかりと効いたスズキの爽やかさも印象的だ。

2023.12.05(火)
文・撮影=パリッコ