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ホウ・シャオシェンがプロデュースした複合施設「台北之家」

 ホウ・シャオシェン映画のファンなら、ロケ地だけでなく、中山区にある「台北之家」にもぜひ足を運んでほしい。日本統治時代にアメリカの領事館として使用された洋館を改装した、映画の複合施設。右側はミニシアター系の映画館となっており、8月に訪ねた際には、濱口竜介特集やジャン=ピエール・メルヴィル特集、高橋正弥監督『渇水』(22)や森井勇佑監督『こちらあみ子』(22)といった日本映画が上映されていた。

 左側は、ショップやカフェ、バーなどが入っている。カフェは以前「珈琲時光」という名前だったが、今は「羊毛とおはなCoffee」という日本の音楽デュオにちなんだお店に変わっていて、コーヒーやハーブティー、オリジナルのケーキなどが楽しめる。

 ショップでは、雑貨や洋服と一緒に、Blu-rayやDVD、映画本が販売されていて、ホウ・シャオシェンの映画にまつわる本やソフトがたくさん購入できる。もちろん台湾映画だけでなく、エリック・ロメールやジャン=リュック・ゴダール、小津安二郎、ルイス・ブニュエルなど、日本やヨーロッパの映画ソフトもずらりと並んでいる。

 そういえば、本屋スペースでは『悲情城市』の公開から33周年を記念したフォトブックが大きく展開されていたが、エドワード・ヤンの次は、ホウ・シャオシェンの大回顧展もやはり予定されているのだろうか? そのときは、きっと台北だけでなく台湾の各地をまわりながらホウ・シャオシェンの痕跡を辿りながらの映画の旅となるだろう。

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2023.11.27(月)
文・写真=月永理絵