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うどんはきつねか、鍋焼きか

 京都に来たならこれを食べずには帰れない。珠玉の一杯を厳選。

ツルリ、肌美人うどん? 熟成・加圧麵に感動

◆【祇園】うどん 塩釜

 熱々のおうどんをすすった瞬間、するりとシルキーに、きめ細かく舌の上を滑り、優しく撫でるうどんの舌ざわりに、ハッと目が覚める。

 その後に上品に追いかけてくるのが、お揚げの甘みがしみ出た出汁の香り。

 讃岐風でも関西風でもない独自のその麺は、キャリア11年のご主人が開発した熟成生地と、圧力鍋を使った加圧式ゆで上げの賜物。圧力鍋の力で、麺の表面のグルテンがより細かくなるのが、“美肌麺”ともいえる麺肌のキメ細かさの秘密なのだ。

 場所は祇園の一等地。昼の長い営業時間もアクセスに嬉しい。

うどん 塩釜

所在地 京都市東山区富永町119-1 桜花ビル1F
電話番号 075-748-1436
営業時間 12:00~16:30 L.O.、18:00~20:30 L.O.
定休日 無休
Instagram @udon.shiogama
※カード不可

麵にギュッとしみ込む、出汁の美味に京都を実感

◆【丸太町七本松】鍋焼 ROCKY

 クツクツと鍋の表面が揺れ踊りながら出てくる熱々の土鍋入りのうどんは、テーブルに届いた瞬間から香りの華やかさが格別。

 細めのうどんの中まで、絶妙にしみ込んだ出汁のおいしさに驚いていると、若きご主人が「うどんをさっと下ゆでした後、鍋の中で3分煮て、出汁の味を含めてます」と微笑む。

 昆布、鰹に牛スジも加えた上品な出汁の甘みも深々と心に響く、折り目正しい味わい。

 こんな珠玉の一杯が、少し街外れの全く飾らない店構えの中に潜むという点も、京都という街の懐深さと魔性の小さな縮図のよう。

鍋焼 ROCKY

所在地 京都市中京区丸太町七本松東入ル北側聚楽廻西町182-9
電話番号 075-406-7758
営業時間 11:00~14:00 L.O.、18:00~22:30 L.O.
定休日 水曜
Instagram @nabeyaki_rocky.05.03

2023.11.06(月)
文=寺下光彦
写真=橋本 篤

CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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