●コロナ禍でも支えてくれたファンに感謝

――21年1月にリリースされた1stアルバム「多世界解釈」は、オリコンデイリーアルバムランキング1位になります。

 それが、どのぐらいスゴいことなのかそのときは分かってなかったのですが、(杢代)和人とか、(長野)凌大とか、(桜木)雅哉たちから詳しく教えてもらいました。コロナ禍によって、“二次元と三次元の間”というコンセプトが生まれた「げんじぶ」ですが、直接会えない中でも、ファンのみなさんが応援してくれたことに、今も感謝しています。

――大倉さんにとって転機となった出来事を教えてください。

 スカウトされたときや「BATTLE STREET」のメンバーに選ばれたときもそうですが、俳優としての自分の転機となったのは、高校1年のときにTVのバラエティ番組で菅田将暉さんを見たときです。存在感からして衝撃的で、「この人に少しでも近づけるよう、お芝居を頑張っていきたい」と思いました。

――俳優としては、21年に舞台化もされたドラマ「FAKE MOTION-たったひとつの願い-」に、天下布武学園の仙道役で出演されました。

 先輩の方が多くて、緊張感がすごい現場でした。僕が演じた仙道は変装が得意な役だったのですが、正体をバラしたときの「ハハハ」という笑い方がなかなか巧くできなくて困っていたんです。そんなとき、荒牧(慶彦)さんから笑い方を教えていただき、なんとか克服できました。

●よりナチュラルなお芝居が見られる初主演作

――22年公開の『レッドブリッジ』『レッドブリッジ ビギニング』を経て出演された、『ヒッチハイク』は映画初主演作です。

 オーディションで主演に選んでいただいたのですが、とてもプレッシャーを感じていました。自分とは違う親からの過干渉にストレスを感じている山崎健をどう演じればいいのか? いろんな方から話を聞きましたし、動画で都市伝説について調べるほかにも、「挨拶のときの声の大きさに注意しよう」とか、「主演とは?」について調べました。

――ホラー作品の現場の雰囲気はいかがでしたか?

 僕は怖がりでホラー映画が苦手なんですが、ホラー映画とは思えないぐらい明るい現場でした。共演の(中村)守里さんは、ドラマ「警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜SEASON5」で一緒だったこともあり、休憩中の話も弾みました。そして、川﨑(麻世)さんたちジョージ一家の、カメラが回っているときといないときのギャップも凄かったです。先にクランクアップされた川﨑さんから優しい言葉をかけていただいたおかげで、最後まで走り抜くことができました。

――本作では、どのような新しい大倉さんが見られると思いますか?

 健の性格は僕と全く違うので、ギャップみたいなものを感じるかと思います。また、完成した作品を見たら『レッドブリッジ』のときにはできなかったこと、例えば表情の作り方などが巧くできるようになっていたので、これまでよりナチュラルなお芝居が見られるんじゃないかと思います。ただ、独り言のお芝居とかは、まだまだ頑張らなきゃいけないと感じました。

●目指すは東京ドームのステージ

――「げんじぶ」のメンバーとして、俳優・大倉空人として、今後の展望や希望を教えてください。

 「げんじぶ」としては、2023年11月5日(日)にぴあアリーナMMでのワンマンライブの開催が決まっているので、そこを成功させて、7人の夢でもある東京ドームのステージに立てるように一歩一歩頑張っていきたいです。俳優としては、いろんな現場で、たくさんの方から吸収していって、しっかり相手の方と対話できる、パスを出し合えるようなお芝居ができる役者になりたいです。菅田将暉さんへの憧れは、今でも変わりません。

» 大倉空人さんの写真や場面写真を全て見る

大倉空人(おおくら・たかと)

2002年4月12日生まれ。神奈川県出身。「EBiDAN」加入後、ダンスヴォーカルグループ「原因は自分にある。」メンバーとして活動中。俳優としても、映画『レッドブリッジ』『レッドブリッジ ビギニング』、ドラマ「FAKE MOTION-たったひとつの願い-」「ひともんちゃくなら喜んで!」などに出演。

『ヒッチハイク』
2023年7月7日(金)より、全国ロードショー

ハイキングの帰りに山道で迷い、ヒッチハイクを試みた大学生の涼子(中村守里)と茜(高鶴桃羽)。家族を連れて、カウボーイの格好をしたジョージ(川﨑麻世)が運転するキャンピングカーは、どこか異様な雰囲気が漂っていた。その一方、健(大倉空人)と悪友の和也(平野宏周)も、涼子たちと同じ山でヒッチハイクの旅をしていた。
https://hitchhike-movie.com/

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2023.07.07(金)
文=くれい響