この記事の連載

●「ROOKIES」監督からの熱いディレクション

――そんな板垣さんにとって、転機となった作品を教えてください。

 もちろん「仮面ライダー」の存在は大きいですが、その直後に撮った映画『約束のネバーランド』(20年)も忘れられません。17、18歳のタイミングで、俳優を目指すきっかけでもあった「ROOKIES」を撮った平川(雄一朗)監督と作品をご一緒できたこと。平川さんはすごく語る方ではないんですが、リハーサルや現場で、人間の複雑な気持ちや感情みたいなものと向き合って芝居をしていくことを、熱を持ってディレクションされたんです。それを受けられたことは、とても光栄でした。

――ドラマ「ここは今から倫理です。」(21年)で演じられた愛着障害を持つ高校生・都幾川役も印象的でした。

 芝居だけじゃない、役者の醍醐味を知ることになった作品です。都幾川はいろいろなトラウマを抱えている役なので、今思い返してもあの役を演じていたときの感情はトップクラスにキツかったです。でも、放送直後に「救われました」という感想をいただきました。そういうシリアスな問題を扱った作品に僕が出演したことで、役者である自分が作品と視聴者の方を繋ぐ立場であることに、改めて気付かせてもらったんです。大袈裟かもしれませんが、これからもそうやっていろんな人の人生を変えられる仕事かもしれない、と思っています。

~次回は新作出演映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』についても語っていただきます~

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板垣李光人(いたがき・りひと)

2002年1月28日生まれ。18年「仮面ライダージオウ」で注目され、『約束のネバーランド』(20年)のほか、「青天を衝け」(21年)、「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~」(21年)、「silent」(22年)などのドラマに出演。『かがみの孤城』(22年)では声優初挑戦したほか、NHK大河ドラマ「どうする家康」に出演予定。

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』

2023年3月3日(金)より全国公開

人生初告白に失敗した高校2年生の真綾(畑芽育)を見た、学校一のモテ男子で陸上部のエースの千輝くん(高橋恭平)。なぜか彼が提案した“片想いごっこ”を始めることになった真綾は、自分にだけ甘すぎる千輝くんとの秘密の関係になっていく。だが、そんな関係を真綾に密かに想いを寄せるクラスメイトの手塚(板垣李光人)に知られてしまう。
https://movies.shochiku.co.jp/chigirakun-movie/

次の話を読む「こんなにも社会現象になるとは!」 「silent」「どうする家康」と 人気作に連投の板垣李光人

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2023.02.17(金)
文=くれい響
写真=榎本麻美
ヘアメイク=KATO(TRON)
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)