飛騨の郷土料理を堪能する絶品朝食
朝食メニューはサラダ、納豆、温泉玉子、玉子焼き、魚といった正統派の朝食に加え、飛騨の郷土料理、炭火で焼く朴葉みそも。
味噌と刻んだネギを朴葉の上に乗せて焼きながら食べる朴葉みそは、白米が進む最強の郷土料理ではないだろうか。
明治時代の趣あふれる「招月楼」の館
チェックアウトまでの時間には、館内めぐりもおすすめだ。「招月楼」は天井も床も階段も明治時代のままで、レトロなガラス窓が往時の姿を偲ばせる。
昔使われていたという玄関口から帳場に向けて、高い天井の吹き抜けの空間になっていて、ひな祭りや端午の節句、七夕など季節の行事に合わせて人形や飾り物が、季節の彩を添える。
八ツ三館は、明治から昭和初期にかけて、飛騨から峠を越えて長野の製糸工場まで出稼ぎに行っていた若い女性たちを泊めた検番宿としての歴史を持つ。
その様子は映画『あゝ野麦峠』に描かれ、館内にはかつての映画スターたちの写真や新聞記事、手紙などが残されている。映画の世界に思いを馳せ、しばしタイムスリップを楽しもう。
八ツ三館
所在地 岐阜県飛騨市古川町向町1-8-27
電話番号 0577-73-2121
料金 1泊2食一人 29,000円(光月楼 池月39,600円)~
https://www.823kan.com
薬草でミネラル補給。飛騨古川をさらに楽しむ
飛騨古川のある飛騨市が最近力を入れているのが「薬草」。八ツ三館から徒歩4、5分の場所にある「ひだ森のめぐみ」では、飛騨の薬草体験が楽しめる。
予約なし、ワンコイン(500円)で体験できる「薬草香り袋づくり」(15分)は、抗菌作用のある山椒に、6種類の生薬から好きな薬草をブレンド。
出来上がった香り袋は、バッグに入れて持ち歩いたり、車に置いたりして、生活に香りの効果を上手に取り入れよう。
16種類の薬草パウダーからつくる「薬草七味づくり」(30分 500円)、クズの花の粉末をはちみつで丸める「クズの花玉づくり」(15分 1000円)、4種類の薬草で染めた糸でコースターをつくる「機織りコースターづくり」(60分 500円)など、メニューは豊富。
スタッフの蒲貞憲さんによると、日本にある500種類のハーブの約半数が飛騨に自生していることを薬学部の教授が発見したそう。それにより、飛騨を薬草の里として売り出すことになったそうだ。
高血圧なら「メナモミ」、白髪が気になるなら「クズの新芽」など、気になる悩みに効果が期待できる薬草のアドバイスもくれる。お気に入りの薬草茶葉を探してみよう。
ひだ森のめぐみ
所在地 岐阜県飛騨市古川町弐之町6-7
電話番号 0577-73-3400
http://www.city-hida.jp/yakusou/
野添ちかこ(のぞえ・ちかこ)
温泉と宿のライター/旅行作家
「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部副部長。
https://zero-tabi.com/
Column
週末に、心が洗われる別世界へ出かけてみるのはいかが。少し車を走らせれば、そこにはおもてなしの心に満ちた極上の宿が待っている。旅行作家の野添ちかこさんが、1泊2日の週末ラグジュアリー旅を体験。その極上体験をレポートします。
文・撮影=野添ちかこ