週末に、心が洗われる別世界へ出かけてみるのはいかが。少し車を走らせれば、そこにはおもてなしの心に満ちた極上の宿が待っている。
旅行作家の野添ちかこさんが、1泊2日の週末ラグジュアリー旅を体験。今回訪れたのは、新潟県・赤倉温泉の「赤倉観光ホテル」。
標高1,000メートルに建つホテルから、視界を遮るものが何もない大自然の眺望が望める。ここは雲上のスノーリゾートだ。
標高1,000メートル。知る人ぞ知る極上のスノーリゾートへ
雲海は望めるだろうか――。そんな期待を抱き、坂道を車で上る。ほかの追随を許さない圧倒的なロケーションは、戦前の大倉財閥が開発した高原リゾートの草分けだから。
大倉財閥二代目当主・大倉喜七郎氏が1937(昭和12)年に上高地帝国ホテル、川奈ホテルに続けて開業した赤倉観光ホテルは、現在の所有者であるR&Mリゾートが引き継いでから、2009年に「SPA&SUITE棟」、2016年に「プレミアム棟」を新築し、時代に合わせて進化を遂げている。
ウインターシーズンにマイカーでアクセスするには、スタッドレスタイヤが必須。東京方面からは関越自動車道~上信越自動車道または中央自動車道~長野自動車道~上信越自動車道を経由して、3時間30分~4時間程度で到着する。
妙高山の中腹、標高1,000メートルの絶好のロケーション。
開業にあたり、大倉喜七郎氏が野尻湖から佐渡島まで見渡せる場所を探させたそうで、ここは江戸時代、赤倉温泉が開湯するときに妙高山に祈念するための祠があった「山ノ神」といわれていたエリアだ。
民宿や旅館・ホテルが立ち並ぶ赤倉温泉街からは200メートルほど高い場所にあり、まさに天空のホテル。条件がそろえば、朝日とともに幻想的な雲海が見渡せる。
SPA&SUITE棟最上階に設けられた「アクアテラス」と名づけられた水盤には、妙高山の湧き水が湛えられている。
赤倉観光ホテルの中で最もフォトジェニックな場所だが、温泉の排熱を使って雪を溶かす融雪プールの役割も果たしているのだという。
赤倉観光ホテルは本館、SPA&SUITE棟、プレミアム棟の3棟で全76室ある。
本館は、設計士をスイスの山岳リゾートに派遣し建築を勉強させて建てた、クラシカルな佇まい(1965年に一旦消失)。3~4階にある標準タイプ(30平方メートル前後)の客室をはじめ、ブロアバス付き客室など47室からなる。
2009年に新築されたSPA&SUITE棟(10室)は、よりラグジュアリーな滞在ができるよう、全室にかけ流しの露天風呂をつけた。
さらに2016年にはプレミアム棟(19室)が誕生。本館とプレミアム棟にシングルルームが10室あるので、優雅な1人旅をしたいという人にもうってつけだ。
文・撮影=野添ちかこ