週末に、心が洗われる別世界へ出かけてみるのはいかが。少し車を走らせれば、そこにはおもてなしの心に満ちた極上の宿が待っている。

 旅行作家の野添ちかこさんが、1泊2日の週末ラグジュアリー旅を体験。今回訪れたのは、山形県・赤湯温泉にある山形座 瀧波。

 山形市内からは車で約40分、福島市内からは約1時間、仙台市内からも約1時間30分と、東北圏内の週末旅にちょうどいい距離感。

 東京駅から新幹線で東北の駅まで行き、レンタカーなどでいくつかの観光スポットを巡りつつ赤倉温泉を目指すのもおすすめだ。


設えも家具も、オール山形産でおもてなし

 2017年にリニューアルオープンした当初から、山形座 瀧波は異彩を放っていた。350年以上前の庄屋敷を移築した堂々たる日本家屋と、モダンな北欧家具とのコラボレーション。日本の伝統とモダンが絶妙に融合した空間が広がっている。

 ダイニングでは、契約農家から届くオーガニック野菜を使用し、素材を大切にした料理の数々を堪能できる。

 もともと旬の食材を特別な一皿へと昇華させる料理で人気を誇っていた宿であるが、リニューアルから4年半の歳月を経て、イタリアンのミシュランシェフが参入。和食とイタリアンを融合し、さらに進化した料理が味わえると聞いて、車を走らせた。

 玄関をくぐるとまず目に入るのが、ラウンジから中庭までつながる広い畳の大広間。重厚な趣ながら日本家屋に北欧家具がマッチして、モダンな雰囲気が漂っている。

 木の床は素足で歩くと気持ちがよく、古民家を移築した建物ながら断熱がしっかりと施されていて、冬でも寒くないのがうれしい。

 座り心地のいいスワンチェアに腰掛けると、ウェルカムティーとして、ずんだシェイクが出てくる。何とも山形らしいおもてなしだ。

 ラウンジや広間では、コーヒーやハーブティーなどをフリードリンクで提供しているから、風呂上がりや食後のひとときをこの空間で過ごすのもいい。

文・撮影=野添ちかこ